ラッセンの作品と買取金額について説明

2020/03/11 ブログ

ラッセンの作品と買取金額について説明

ラッセン

現代アートの買取ならTAPIR

 

はじめに


日本で最も有名なマリンアーティストのクリスチャン・ラッセンは今から64年前の1956年3月11日に生まれました。ハワイに生まれたラッセンにとって海は空気の様な存在で、身の回りの景色を描いた作品で多くのファンを作りました。現在でも定期的に来日展を精力的に行っています。80年代~90年代にかけて一世を風靡したラッセンの市場価値を絵画・美術品の買取を専門に行っている立場から紹介させていただきます。

 

ラッセンの作品について


ラッセンの特徴は「マリンアート」です。生まれ育ったハワイの景色や、イルカ、シャチなどをリアリスティックに描いています。風景はよりリアルで幻想的な印象を受け、イルカなどの作品はリアルなモチーフをファンタジーの世界に迷い込ませたような絶妙なバランス感があります。見る人を傷つけずに安らぎを与えるヒーリングアーティストです。

 

ラッセン作品の特徴は「版画」です。キャンバスに油絵や紙にエアブラシなどで描いた直筆作品もありますが、日本国内に流通している多くは「版画作品」です。版画にはリトグラフ、シルクスクリーン、銅版画など様々な技法があり、ラッセンは様々な表現技法を駆使して作品を制作しました。

ラッセンの作品は版画であればすべて金額が付くのではなく、限定部数(1/100など)と本人の直筆サインが必要ですの注意が必要です。

では、次に現在の具体的な買取価格についてご案内します。

 

ラッセンの市場価値について


市場に出回っている作品の多くは版画作品なので、版画に関して紹介させていただきます。

 

制作年代や構図により評価額が異なりますが買取金額は1万~10万円の間になることが多いです。

 

ここで重要なのは「制作年代」です。

作品の図柄も重要ですが買取に関していえば制作年代が金額を分けます。大きく分けると「シルクスクリーン期」、「ミックストメディア期」、「ラッセングラフ期」の三種類ありますので順に見ていきます。

 

①シルクスクリーン期

シルクスクリーン期はラッセンの版画作品で最も古い時代に制作された作品です。作品の特徴は紙にシルクスクリーンで摺られています。3種類の中では最も買取金額が安く、1万~2万円前後となります。

 

②ミックストメディア期

ミックストメディア期はラッセンのキャリアでも中盤に制作された作品です。作品の特徴はキャンバス地に摺られています。摺られた上からキャンバス地が見ることができるので、判断しやすいかなと思います。買取価格は2万~4万円前後となります。

 

③ラッセングラフ期

ラッセングラフ期は最も新しい表現様式です。作品の特徴は磁器のような滑らかな画面です。光沢感がありスタイリッシュな印象を見受けられます。3種類の中では最も高い買取価格となり、4万円~10万円前後となります。

 

このようにラッセンの版画作品は作品の技法によって制作年代が明確に分かれており、同時に年代が新しくなるにつれて買取価格は高くなります。

 

ラッセンはバブル期に、親しみやすい美しい自然を描き、作品をポスターやジグソーパズルにして販売し日本での知名度向上のための販売戦略を精力的に行ったため奈良美智などの一部の芸術家から反感を買うという一面もありました。しかしその反面、多くの人が芸術を身近に触れることのできる大きな転換期だったとも言えます。

 

ラッセン人気が最も高かった80年~90年代に購入(50万~100万円前後)された方からするとビックリするほど安く感じるかもしれませんが、このような市場評価で推移しています。

では、なぜ短期間でここまで買取金額が安くなってしまったのか?解説します。

 

ラッセンの買取価格が安くなる理由


ラッセンの全盛期は50万~100万円前後で小売りされていました。上で述べたように作品の時期が「シルクスクリーン期」だったら、1万~2万円前後の買取となります。なので購入価格の100分の1まで価値が下がっていることになります。

市場価格は需要と供給の関係で決定されるのは当然で、このような結果は市場経済の1つの例に過ぎないかもしれません。しかし、美術品に関しては供給側の努力で需要の大幅な下落を防ぐことができます。詳しく見ていきましょう。

 

供給側とは作家(ラッセン)や販売を担当する画商をさします。需要側はコレクターだけではなく画商も含まれます。

画商とはコレクターを育てて作品の価値を高めるだけではなく、相場をコントロールする役割もあります。すべてのコレクターが作品を買い続けてくれるのではなく、一定数手放す方も出てきます。その時に一定の金額で買取金額を担保することにより相場が維持されます。販売元が表立って買取ができなくても、買取業者から卸市場に流れた際は一定の卸相場額まで支えているため、買取相場も保証されているという図式になります。

 

ラッセンの場合に話を戻します。現在も積極的に新作を販売していますが、上で述べたような相場を支える動きが少ないのが1つの理由でしょう。

 

現在はインターネットオークションやフリマアプリが発展して個人間の売買が一般的になりました。ラッセンの作品は版画作品が多いため真贋に関しての心配が少ないため流通量が増えるでしょう。このまま流通量が増加すれば相場が形成されますので今後買取価格に変化が起きる可能性もあります。

 

美術品買取専門店 獏では様々な相場を考慮して、問合せ時点で最大限の買取金額をご提案させていただきます。ラッセンの作品は取扱量も多く自信を持って扱っていますので、お気軽にご相談ください。

 

情報参考サイト

日本現代美術振興協会

モダンアート協会

MOMA

東京都現代美術館

文化庁

文部科学省