バンクシーとはどんなアーティスト?代表作5選や落札相場など正体不明のグラフィティアーティストを徹底解説

2022/03/17 ブログ
Banksy_Flower Thrower

バンクシー(Banksy)は、世界中でさまざまな「事件」を起こしながら、強いメッセージを発信し続けている謎の多いアーティストです。ときに過激な活動で私たちを驚かせますが、バンクシーの発信するメッセージには共感する人も多く、世界中に熱狂的なファンが存在しています。

 

今回は、「アート・テロリスト」とも呼ばれるバンクシーの正体や人気の秘密を深堀りしながら、落札相場なども含めて解説したいと思います。

 

 

 

バンクシーとは?正体や特徴について解説

 

バンクシーは、イギリスを拠点として活動するストリートアーティストです。まずは、最近何かと話題になることの多いバンクシーについて、その正体や特徴を探ってみましょう。

 

 

世界中のストリートや壁などの公共物にスプレーを使って社会風刺的な絵を描くアーティスト

 

謎の多いバンクシーですが、一説によると、ダミアン・ハーストと同じイギリスのブリストル出身だといわれています。バンクシーは、1990年代のブリストルでグラフィティ(主にスプレー缶を用いて公共の場に文字や絵をかくこと)活動を開始し、その後ブリストル以外にも活動の範囲を広げていきました。

 

バンクシーのグラフィティはステンシル(型抜き)という技法を使って制作されます。そして、彼の作品の根底にあるのは、社会に対する批評性やダークなユーモアです。その姿勢はごく初期から現在に至るまで変わっていません。彼の制作するグラフィティの多くが反戦や難民問題、大量消費主義への批判、弱者への無関心をテーマとしています。

 

公共の場に無断で作品を描いていることや、権力への批判を行っていることから、バンクシーはよく「アート・テロリスト」と表現されます。バンクシーの活動は非合法であり、一歩間違えれば逮捕されてもおかしくありません。しかし、バンクシーの作品があまりにも魅力的であるため、最近ではバンクシーが描いたグラフィティーを保存しようとする公共機関も増えています。

 

 

「複数人のアーティストグループ」や「イギリスの音楽ユニットメンバー」などさまざまな噂が存在しており、現在も正体は不明

 

バンクシーの正体はいまだにはっきりとしませんが、いくつかの説が存在します。一つ目は、バンクシーを名乗る複数人のメンバーが手分けして作業にあたり、作品を制作しているというものです。

 

二つ目は、ブリストル出身の人気音楽グループ「マッシヴ・アタック(Massive Attack)」のメンバー、ロバート・デル・ナジャ(Robert Del Naja 通称:3D)であるという説です。これはマッシヴ・アタックのツアーの開催場所とバンクシーの作品制作場所が似通っていることや、バンクシーの友人であるグラフィティアーティストが、ポッドキャストでバンクシーのことを「ロブ(ロバートの愛称)」と呼んでしまったことに由来します。

 

三つ目は、ブリストルを拠点に活動するイラストレーター、ロビン・ガニンガム(Robin Gunningham)であるという説です。ある人が作品を描いていた人を追いかけたら、ロビン・ガニンガムによく似た人物だったのだそうです。 しかし、どの説も決定打に欠け、バンクシーの正体はいまだに明らかになっていません。

 

 

 

バンクシーが起こした事件やハプニング

 

バンクシーは非常に大胆不敵であり、これまでにさまざまな場所でたくさんの事件やハプニングを起こしています。そのなかでも有名なものをいくつか紹介します。

 

 

2004年:“ダイアナ元妃の顔をした10ポンド札”という意味がある「ダイフェイスド・テナー」を制作、2019年に大英博物館へ所蔵

 

2004年8月、バンクシーは『ダイフェイスド・テナー(Di-faced tenner)』と呼ばれる偽札を作りました。これには「ダイアナ元妃の顔をした10ポンド札」という意味があり、本来ならばエリザベス女王が描かれているはずの場所に、ダイアナ元妃が印刷されています。この偽札は100万枚製造されました。

 

2019年には『ダイフェイスド・テナー』が大英博物館の初のバンクシーコレクションとして所蔵され、大きな話題となりました。一目で偽札とわかるデザインではありますが偽札は偽札です。偽札を作るのは違法行為であるにもかかわらず、イギリスの公的機関である大英博物館がそれを所蔵したというのは驚くべきことといえるでしょう。

 

 

2005年:大英博物館に無断で作品を展示、2018年には公式展示へ

 

バンクシーは2005年の5月に、大英博物館へ『街外れに狩りに行く古代人』という作品を無断で展示しました。この作品は遺跡の壁画の一部という設定で、槍の刺さった獣をショッピングカーに乗せて運んでいる古代人が描かれています。この作品はバンクシー自身が公表するまで、誰にも気づかれずに3日間展示され続けました。2018年、大英博物館はこの作品を正式に所蔵品に追加しています。

 

大英博物館への無断展示を行う2か月前、2005年の3月にもバンクシーはMoMA(ニューヨーク近代美術館)、メトロポリタン美術館、ブルックリン美術館、アメリカ自然史博物館、テート・ブリテンで作品の無断展示を行っています。これらの一連のパフォーマンスを通して、バンクシーは「アート・テロリスト」として世界中から知られるようになりました。

 

 

2006年:パリス・ヒルトンが発売したアルバムのフェイクを500枚制作、CDショップに無断で陳列

 

2006年、バンクシーはパリス・ヒルトンのデビューCDの偽物を500枚制作し、CDショップに無断で陳列しました。CDに入っているブックレットはコラージュされており、顔の部分が犬の頭になっているパリス・ヒルトンや、パリス・ヒルトンの顔が貼りつけられたヌード写真が掲載されていました。

 

一見偽物と分かりにくい外装となっていたために、バンクシーの制作したこのCDを実際に購入してしまった人もいます。バンクシーのいたずらにまんまと引っかかってしまった形になりますが、彼が作った偽物のCDにはその後オンラインのオークションで10万円の値段が付いているので、購入した人は得をしたともいえるかもしれません。

 

 

2018年:オークションにて落札された作品を売却成立後にシュレッダーへかけ裁断

 

Banksy

『風船と少女』

出典元:flickr

 

2018年、バンクシーの代表作のひとつである『風船と少女』が、オークションで落札された直後にシュレッダーにかけられてしまうという事件が起きました。この事件の舞台は、世界的に有名な美術品競売会社サザビーズの、ロンドンにあるオークションハウスです。

 

バンクシーは、『風船と少女』が約1億5,000万円で落札されたその瞬間に自身が額縁の中に仕込んだシュレッダーを遠隔操作で起動させました。裁断された作品を見た周りの人があっけにとられる様子を自身のインスタグラムでも公開しています。この作品のタイトルは、バンクシーによって『風船と少女』から『愛はごみ箱の中に』へと改められました。

 

 

 

バンクシーの代表作品を解説

 

次に、バンクシーの作品の中からメッセージ性あふれる代表作品をいくつか紹介します。

 

 

Flower Thrower (Love is in the Air)

 

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

『Flower Thrower(花束を投げる人)』または『Love is in the Air(愛は空中に)』と呼ばれるこの作品は、ベツレヘム(イエス・キリストの生誕の地とされる)の壁に描かれた2003年の作品です。

 

この作品はイスラエルの軍事的支配に対するパレスチナの市民運動をモチーフに制作されました。帽子とスカーフで顔を隠したパレスチナの若い男が投げようとしているのは、石や爆弾ではなく花束です。花束は平和・生命・愛などの象徴であり、この作品ではバンクシーの反戦を訴える気持ちが表現されているといわれています。

 

 

Devolved Parliament

 

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

『Devolved Parliament(退化した議会)』は、2009年に開催された「Banksy versus Bristol Museum」に出品した作品です。この展覧会はバンクシーの出身地といわれているブリストルの、ブリストル私立博物館・美術館で行われました。

 

『Devolved Parliament』は、バンクシーの作品の中では珍しくキャンバスに描かれた作品です。議場に描かれているのは人間ではなく多数のチンパンジーで、英国議会を皮肉った内容となっています。この作品は2019年のサザビーズのオークションにおいて約13億円で落札され、バンクシーの作品における価格高騰の一因となりました。

 

 

laugh now

 

Graffiti of the Apes

出典元:flickr

 

バンクシーの初期の作品である『laugh now』は、メッセージを首から下げてうなだれている猿を描いた作品です。そのメッセージの内容は「いまは笑うがいい。だがいつかは俺たちがやってやる。」というものです。社会の底辺でたくましく生きる人々に心を寄せる、バンクシーらしい作品といえます。

 

メッセージを首から下げる猿を描いた作品は、メッセージの内容を変えたさまざまなバリエーションが存在します。

 

 

Kate Moss

 

banksy Kate Moss Art Basel Miami Beach

出典元:flickr

 

『Kate Moss』は、ポップアートの巨匠として1960年代のアメリカで活躍したアンディー・ウォーホルの作品「マリリン・モンロー」からインスピレーションを得て制作されました。1960年代アメリカのポップアイコンであったマリリンモンローを、イギリスの人気ファッションモデルのケイト・モスに置き換えて描かれた作品です。

 

『Kate Moss』は、2005年にバンクシーの元マネージャーであるスティーブ・ラザリデスのギャラリーから発売されました。50枚しかないメインエディションと、6種類のカラーバリエーションがそれぞれ20枚ずつ存在します。非常に人気の作品です。

 

 

Napalm

 

FEELINGS

出典元:flickr

 

タイトルの『Napalm(ナパーム)』は、アメリカが開発した広範囲に強力な破壊力を発揮する油脂焼夷弾です。この作品の中央に描かれている少女は、1972年にベトナムで撮影され、翌年ピューリッツァー賞を受賞した「ナパーム弾から逃げる少女」の写真から抜き出しています。

 

中央の少女の手をミッキーマウスとドナルド・マクドナルドがつかんでいます。バンクシーは、子どもたちに親しまれているミッキーとドナルドを、資本主義の象徴という違った視点からとらえて表現しました。戦争やグローバル企業による搾取などを批判する極めてショッキングな作品です。

 

 

 

バンクシーの作品の落札価格とその価値について

 

近年、バンクシーの人気はとどまるところを知らず、非常に高額で取引されています。オークションにおける実際の落札価格を見てみましょう。

 

 

2021年:愛はごみ箱の中に(旧:少女と風船)|約29億円

 

『愛はごみ箱の中に』は前述のとおり、2018年のオークションで約1億5,000万円で落札された直後にシュレッダーで裁断されてしまった作品です。この裁断された作品が2021年に再びサザビーズのオークションに出品されました。

 

9人の入札者が競り合った結果、予想落札価格の(約6億円~約9億円)をはるかに上回る約29億円で落札されました。

 

 

2021年:ゲームチェンジャー|約25億円

 

2021年、バンクシーは『ゲームチェンジャー(Game Changer)』というキャンバス作品を世界で最も規模の大きい美術品競売会社といわれるクリスティーズのオークションに出品しました。予想落札価格は約3億7,500万円~5億2,500万円でしたが、実際にはその約5倍である約25億円で落札される結果となりました。

 

『ゲームチェンジャー』は、バットマンやスパイダーマンの人形をかごに残したまま、ナース姿の人形をヒーローに見立てて夢中で遊んでいる少年を描いています。バンクシーはコロナ禍で戦う医療従事者を称えてこの作品を制作したといわれています。

 

2006年:モナリザスマイル|780万円

 

『モナリザスマイル』は、モナリザの顔をスマイリーの顔に描きかえて制作したバンクシーの初期の作品です。この作品は、バンクシーが2004年に一般チケットを購入のうえでルーブル美術館に入館し、無断で展示したことで話題になりました。

 

2年後、2006年に開催されたサザビーズのオークションで『モナリザスマイル』は、約780万円で落札されます。これは当時のバンクシーにとっての自己最高記録でした。

 

 

 

バンクシーに関するよくある質問

 

それでは、最後にバンクシーに関するよくある質問に答えたいと思います。

 

 

バンクシーはなぜ捕まらないのか?

 

前述のとおり、バンクシーは公共の場に無断で作品を描いていることや、権力への批判を行っていることから、「アート・テロリスト」と呼ばれることもあります。流通させることが目的ではなく、ひとめで「偽物」とわかるものではありますが、偽札を作ったこともあります。

 

これらのバンクシーの活動から考えると「なぜ捕まらないんだろう?」と不思議に思う人も多いでしょう。実際、バンクシーの活動には非合法の行為が含まれているので、今後捕まる可能性もゼロではありません。だからこそ、バンクシーは正体を隠して活動しているのです。

 

しかし、バンクシーは今のところ周到な準備の上で活動しているので、今まで通り姿を隠し続けることができれば逮捕される可能性は低いでしょう。

 

 

バンクシーの壁画はパレスチナのベツへレムなど世界各地で現在も鑑賞が可能なのか?

 

バンクシーの作品の多くは街中にあるので、誰でも鑑賞が可能です。社会の底辺でたくましく生きる人々に心を寄せるバンクシーだからこそ、経済的な事情にかかわらず誰もがアートを楽しめるように、あえて街中に描いているのです。

 

バンクシーの出身地といわれているイギリスのブリストルや、首都ロンドン、パレスチナのベツレヘムには多くの作品が残っています。特にベツレヘムには代表作品として紹介した『Flower Thrower』の他、『兵士のボディチェックをする少女』や『防弾チョッキを着た鳩』など、メッセージ性の強い名作があります。

 

また、バンクシーがベツレヘムで手がけたホテル、「THE WALLED OFF HOTEL」(「世界一眺めの悪いホテル」という異名を持つ)は、日本からでも予約が可能です。ホテル内にはバンクシーの作品がたくさん展示されており、一部の作品は宿泊者以外でも鑑賞できます。

 

 

 

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