デイヴィッド・ホックニーとは?独自の世界観や手がけた作品・落札価格を紹介

2022/06/22 ブログ

デイヴィッド・ホックニーとは?独自の世界観や手がけた作品・落札価格を紹介

デイヴィッド・ホックニー_芸術家の肖像画―プールと2人の人物―

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デイヴィッド・ホックニー(David Hockney)は、イギリスのポップアート界を牽引する存在として、イギリスのみならず世界中のファンから親しまれています。近年デイヴィッド・ホックニーの作品がオークションで高額で取引されていることから、目を離すことのできないアーティストの一人ともいえるでしょう。

 

今回は、画家としてだけではなく舞台芸術家、写真家としても活躍し、さまざまな分野で才能を発揮したデイヴィッド・ホックニーについて代表作品や落札価格などを紹介します。

 

 

デイヴィッド・ホックニーの略歴

 

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

 

1959年:ロンドン王立美術大学に入学。「ヤング・コンテポラリーズ」展に参加

 

デイヴィッド・ホックニーは1937年、イギリスのブラッドフォードに5人兄弟の4番目の子供として誕生しました。ブラッドフォード高等学校、ブラッドフォード美術大学を経て、1959年にイギリスのロンドン王立美術大学(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)へ入学します。

 

在学中の1961年に「ヤング・コンテンポラリーズ(Young Comtemporaries)」という若手の現代美術家のための展覧会に参加します。この展覧会にて、ピーター・ブレイクやロナルド・B・キタイとともに出展して注目を集めたデイヴィッド・ホックニーは、期待の新星として画壇に迎えられました。この頃には、同じくイギリスの画家フランシス・ベーコンから影響を受けた、表現主義的な作品を制作していました。

 

1963年、デイヴィッド・ホックニーはパリ・ビエンナーレでグラフィック賞を受賞します。また、同年ロンドンの画商ジョン・カスミンのギャラリーで初の個展が開催され、作品が完売しました。

 

 

1964年:ロサンゼルスに移住

 

1964年になると、デイヴィッド・ホックニーはアメリカ・カリフォルニア州のロサンゼルスに住まいを移しました。現地の家庭にあるスイミングプールからインスピレーションを得たデイヴィッド・ホックニーは、スイミングプールをモチーフとした一連の人気の作品を描き始めます。そして、普及しはじめたばかりのアクリル絵の具を使って、明るく写実的な作品を制作するようになりました。

 

デイヴィッド・ホックニーにとって、ロサンゼルスは自由を象徴する憧れの場所でした。アートの中心地であったニューヨーク、ロンドンなどから離れたこの地で、デイヴィッド・ホックニーは自分らしくのびのびと制作に励みます。

 

デイヴィッド・ホックニーは引っ越してきたその年の1964年、第8回ルガーノ国際素描版画展で一等賞を受賞し、翌年の第7回リュブリアナ国際グラフィック・アート展でも受賞を果たしました。

 

 

1970年〜:回顧展を頻繁に開催。舞台装置や衣装も手がける

 

1970年以降、ロンドンのホワイトチャペル・アート・ギャラリーから出発した巡回回顧展「ディヴィッド・ホックニー絵画/版画/ドローイング:1960-1970」を皮切りに、デイヴィッド・ホックニーの足跡をたどる回顧展が各地で開催されています。

 

1974年にパリの装飾芸術美術館で開催された回顧展「ディヴィッド・ホックニー絵画と素描」や、1988年にロサンゼルス・カウンティ美術館からメトロポリタン美術館、テイト・ギャラリーを巡回した「デイヴィッド・ホックニー 回顧展」に、各地のファンが足を運びました。

 

また、この頃にはストラヴィンスキーの「放蕩者の遍歴」やモーツァルトの「魔笛」のようなオペラ、そしてエリック・サティの「パラ-ド」やストラヴィンスキーの「春の祭典」のようなバレエの舞台装置、衣装なども手がけます。デイヴィッド・ホックニーはこれらを通して舞台美術家としても国際的に知られるようになりました。

 

1970年代以降には活動の幅を広げ、写真を用いたコラージュ作品も制作しています。

 

 

2010年:iPadの発売に伴い「The Yosemite Suite」シリーズを制作

 

2010年、常に研究とチャレンジを怠らないデイヴィッド・ホックニーは、発売されたばかりのiPadを利用して作品制作に取り組み、センセーションを巻き起こしました。

 

iPadのタッチスクリーンをキャンバスにして「Brushes」というアプリを使って描かれた「The Yosemite Suite」は、カリフォルニア州にあるヨセミテ国立公園の景色を描いた人気のシリーズです。この作品に見られる鮮やかな色彩が重なり合うような構成は、iPadならではといえるでしょう。カリフォルニアの雄大でダイナミックな自然が表現された迫力のある作品です。

 

色の調整が瞬時にできるiPadを用いることで、デイヴィッド・ホックニーの色彩感覚はますます研ぎ澄まされ、その感覚は通常の作品にも生かされました。

 

2017年にニューヨークのメトロポリタン美術館で大回顧展が行われて以降、デイヴィッド・ホックニーの人気はますます高まっています。ロンドンにスタジオ、カリフォルニアに家を持つデイヴィッド・ホックニーは、80歳半ばを越えた今も、現役で活動を続けています。

 

 

 

デイヴィッド・ホックニーの世界観

 

故郷イギリスに住んでいた頃に描いた初期の作品は、フランシス・ベーコンの影響を受けた暗い色づかいでした。しかし、1964年にアメリカのロサンゼルスに住まいを移したことで作風が一変し、以降は西海岸の明るい日差しが感じられるような爽やかな色彩の作品を制作するようになります。

 

人々の日常生活や親しい友人との身近な出来事をモチーフとして描かれた作品は、どれも生き生きとした明るい魅力を持っており、デイヴィッド・ホックニーの作品はまたたく間に人気を得ました。

 

また、デイヴィッド・ホックニーは自らの作風が確立されてからもピカソ、セザンヌ、マティスなどのテクニックを取り入れて研究したり、販売されたばかりのアクリル絵の具やiPadを使って作品を制作したりするなど、チャレンジ精神が旺盛なアーティストです。

 

葛飾北斎の浮世絵に興味を持っていたということや、初来日した1971年に福田平八郎の絵画を観賞したことがのちの「ウェザーシリーズ」につながったということも興味深い点です。デイヴィッド・ホックニーは日本にゆかりのあるアーティストともいえるでしょう。

 

 

 

デイヴィッド・ホックニーの代表作品と解説

 

それでは、デイヴィッド・ホックニーの作品の中で特に人気のあるスイミングプールを描いた作品の中から、代表作品を三つ取り上げて紹介します。

 

 

芸術家の肖像画―プールと2人の人物―

 

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

1972年に描かれた『芸術家の肖像画―プールと2人の人物―』は、プールの中で泳ぐ男性とその男性をプールサイドから見下ろす男性の2人の人物が描かれた作品です。 プールサイドに立つ男性は、デイヴィッド・ホックニーの10歳年下でかつての恋人であったピーター・シュレンジャーといわれています。

 

デイヴィッド・ホックニーは自らがゲイであることを明らかにしており、同性愛を扱った作品にも積極的に取り組みました。

 

 

とても大きな水しぶき

 

David Hockney - A Bigger Splash  1967 出典元:flickr

 

『とても大きな水しぶき』は1967年に制作された作品です。ミニマリズムが感じられるシンプルでフラットな構図のなかで、中央の白い水しぶきがことさら目を引きます。 人は描かれていませんが、大きな水しぶきの上がり方から誰かが飛び込み板からプールに飛び込んだところだと想像できるでしょう。

 

この水しぶきの表現に、デイヴィッド・ホックニーは2週間かけてこだわったといいます。

 

 

紙と青いインクによるプール

 

1980年に制作された『紙と青いインクによるプール』は、絶え間なく揺れ動く水面の様子を表現した作品です。西海岸の強い日差しを浴びた透き通ったプールが、水彩画のような淡く明るい色彩で描かれています。

 

『紙と青いインクによるプール』が制作された1980年は、サティのバレエ『パラード』やブーランクのオペラ「ティレジアスの乳房」、ラヴェルのオペラ「子供と魔法」などを手がけ、デイヴィッド・ホックニーが舞台芸術家としても多忙だった年です。この作品のリトグラフを東京都現代美術館が所蔵しています。

 

 

 

デイヴィッド・ホックニーの作品が鑑賞可能な美術館一覧

 

デイヴィッド・ホックニーの作品は、ニューヨーク近代美術館、シカゴ美術館、オーストラリア国立美術館などで鑑賞できます。実際に訪問する場合は、公式サイトで最新の情報を確認してから足を運んでみてください。

 

【ニューヨーク近代美術館(アメリカ)】

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

ニューヨーク近代美術館には、デイヴィッド・ホックニーが18世紀イギリスを代表する画家ウィリアム・ホガースの作品からインスピレーションを得て制作した連作版画『放蕩一代』のシリーズが所蔵されています。

住所 11 West 53 Street, New York, NY 10019, United States of America
アクセス

・タイムズスクエアから徒歩で約10分~15分

・地下鉄の最寄り駅はE/M線 5Ave 53st

営業時間 10:00~17:30(土曜日のみ10:30~19:00)
料金 一般 $25 / シニア(65歳以上) $18 / 学生 $14 / 子供(16歳以下)無料
公式HP https://www.moma.org/

 

 

【シカゴ美術館(アメリカ)】

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

シカゴ美術館には、デイヴィッド・ホックニーが1968年に描いた『American Collectors(Fred and Marcia Weisman)』や、1971年に日本の内海を描いた『Inland Sea, Japan』などが所蔵されています。

住所 111 S Michigan Ave, Chicago, IL 60603
アクセス アダムズ / ワバッシュ駅より徒歩2分
営業時間 11:00~17:00(木曜日のみ11:00~20:00)
料金 一般 $25、学生・65歳以上・14歳~17歳 $19、13歳以下 無料
公式HP https://www.artic.edu/

 

 

【オーストラリア国立美術館】

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

オーストラリア国立美術館には、デイヴィッド・ホックニーが1998年に描いた『Bigger Grand Canyon』という巨大作品が所蔵されています。

 

住所 Ngunnawal and Ngambri Country Parkes Place East、Parkes ACT 2600
アクセス バス2、6番利用。パークス・プレイス(Parks Place)下車、徒歩4分。国会議事堂(PARLIAMENT HOUSE)から徒歩20分
営業時間 10:00~17:00
料金 無料 ※特別展は別途料金必要
公式HP https://nga.gov.au/

 

 

 

デイヴィッド・ホックニーの作品の落札価格や価値について

 

それでは、近年高値で取引されて話題になったデイヴィッド・ホックニーの作品を2つ紹介します。

 

 

2008年:Beverly Hills Housewife|12億5,000万円

 

2008年、デイヴィッド・ホックニーが1966年から1967年にかけて制作した『Beverly Hills Housewife』という作品が、クリスティーズのオークションにおいて約12億5,000万円で落札されました。

 

『Beverly Hills Housewife』はロサンゼルスに住まいを移して数年後に制作した作品で、彼の後援者ベティ・フリーマンを明るく爽やかな色彩で描いています。

 

 

2018年:芸術家の肖像画―プールと2人の人物―|約102億円

 

代表作品としても紹介した『芸術家の肖像画ープールと2人の人物ー』は、2018年のクリスティーズのオークションにおいて当時の現存作家最高額である約102億円で落札されました。

 

デイヴィッド・ホックニーは、1972年にこの作品を約2,000万円で売却しているので、50年弱の間に600倍以上もの値上がりを見せたことになります。

 

 

 

デイヴィッド・ホックニーの作品は強化買取中

 

アメリカ西海岸の日差しを思わせるような独特の明るい色彩の絵画を描いたデイヴィッド・ホックニーは、その時代の最先端のツールを取り入れながら人々をあっと驚かせるような魅力的な作品を制作しました。

 

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