今井俊満とは?日本にアンフォルメル旋風を巻き起こした画家の代表作品・買取価格を紹介

2022/07/08 ブログ

今井俊満とは?日本にアンフォルメル旋風を巻き起こした画家の代表作品・買取価格を紹介

今井俊満_紅葉図

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今井俊満は、1950年代後半の日本に「アンフォルメル旋風」を巻き起こした立役者のひとりとして知られています。フランス留学中に画家であり美術批評家でもあるミシェル・タピエと出会い、彼の提唱するアンフォルメル運動に参加するようになりました。

 

自らの芸術を追い求めて作風を変化させ、晩年に至るまで精力的に創作活動を行った今井俊満は、今でも多くのファンから愛されています。今回は、今井俊満の略歴や代表作品、作品の買取価格などについて紹介します。

 

今井俊満の略歴

 

サインをする今井俊満(右)
出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

1941~48年:旧制武蔵高等学校尋常科にて『道』を制作

 

今井俊満は、1928(昭和3)年、京都の西京区嵐山にある父の別荘で生まれました。

 

大阪市船場に引っ越して尋常小学校に通ったのち、1941(昭和16)年に上京して武蔵高等学校尋常科で学びます。在学中から絵画に関心を持ち始めた今井俊満は20歳前後から実際に絵を描き始め、画家の萩太郎(おぎたろう)、梅原龍三郎、安井曾太郎らに師事します。

 

1948(昭和23)年に武蔵高等学校を卒業した今井俊満は、同年に開催された第12回新制作派協会展において『道』という作品で入賞を果たしました。

 

 

1950~52年:東京藝術大学油絵科で学び渡仏

 

1950年、今井俊満は東京藝術大学美術学部油絵科の派遣学生となり、1年間学びました。翌年の第15回新制作派協会展に出品した『真夜中の結婚』では、新作家賞を受賞します。

 

1952(昭和27)年、今井俊満は日本橋の白木屋画廊で初めての個展を開催し、さらに学びを深めるためにフランスのパリにあるソルボンヌ大学に留学しました。

 

 

1955~57年:ミッシェル・タピエと出会いアンフォルメルに参加し個展開催

 

1955(昭和30)年、留学中に知り合った画家サム・フランシスの紹介で、今井俊満はアンフォルメル運動の提唱者であるミッシェル・タピエに出会います。そしてサム・フランシス、ジョルジュ・マチュウ、ジャン・デュビュッフェらと共に、自らもアンフォルメル運動の推進者として活動を開始しました。

 

1956(昭和31)年に東京日本橋の高島屋で開催された「世界・今日の美術展」では、岡本太郎からの依頼で今井俊満がサム・フランシスやデュビュッフェなどの作品を斡旋します。この展覧会でアンフォルメルの絵画を初めて本格的に目にした日本人は、たちまちこの絵画に魅了されました。

 

今井俊満は1957(昭和32)年に、パリのスタドラー画廊で個展を開催し、以降は日本とフランスの間を行き来しながら活動を続けます。アンフォルメルの画家として地位を国内外で確立した今井俊満は、1970(昭和45)年の大阪万国博覧会の大阪万国博覧会において企業パビリオンの美術監督も務めます。

 

 

1983年~:日本の伝統美を蘇生させる「花鳥風月」シリーズを制作

 

紅葉図

 

やがて今井俊満は日本の伝統美にも目を向け、これまで描いてきた抽象画とは異なる具象画を制作するようになりました。1983(昭和58)年頃から制作された「花鳥風月」シリーズでは、「琳派」の流れをくむ装飾的な画面構成で知られます。

 

今井俊満は「花鳥風月」シリーズを通して日本独自の美意識を自らの作品の中に落とし込むことに成功しました。これは西洋の美を模倣する日本美術からの脱却であり、伝統的手法を否定するアンフォルメルと日本古来の美の融合を目指す画期的なチャレンジでもありました。

 

また、1991(平成3)年には富山県立近代美術館で今井俊満の画業を振り返る回顧展「今井俊満展」が開催され、話題になります。

 

 

1992年~2002年:コギャル文化を賞賛し人物絵を多く残す

 

女(紙にエナメル)

 

今井俊満は1992(平成4)年に急性骨髄性白血病を発病しましたが、以降も創作意欲を大いに発揮し活動に打ち込みました。ドクロなどをモチーフにした表現主義的な作品にも挑戦し、1990年代後半には広島や長崎の戦禍を描いた作品も残しています。

 

また、晩年の今井俊満は「21世紀は女性の時代」と語り、この頃に流行していた「コギャル文化」にも目を向けました。日本独自の美を「コギャル」の中に見出した今井俊満は、作風を大きく変化させ、人物画も多く制作しています。それは同じくアンフォルメル運動を推進したジャン・デュビュッフェの提唱する「アール・ブリュット(生の芸術)」を思わせる素朴な魅力で人々を惹きつけました。

 

2000(平成12)年に余命数か月と告知された今井俊満は、銀座のギャラリーGANにおいて「サヨナラ展」展を開催します。そして2年後の2002(平成14)年に、膀胱がんのため73歳で惜しまれつつこの世を去りました。

 

ちなみに、今井俊満の息子である今井アレキサンドルと今井龍満は、現在画家として活躍しています。

 

 

今井俊満が影響を受けたアンフォルメルとは

 

アンフォルメルとは、1950年代のパリを中心として沸き起こったムーブメントです。アンフォルメル運動を提唱したのはシュルレアリスム画家であり、美術批評家でもあるフランス人のミッシェル・タピエです。ミッシェル・タピエは19世紀末にフランスで活躍した画家、トゥールーズ=ロートレックの子孫でもあります。

 

アンフォルメルの1番の特徴は、これまでの絵画における伝統的な形式(フォルム)を否定し、素材のマチエール(激しい筆致や質感)や描く身振りなどに注目する点です。描くことそのものにスポットを当て、第二次世界大戦後の精神的混乱や激情、生命の持つ緊張感などを表現しようとしました。

 

アンフォルメルの根底に流れる考えは、当時フランスを中心としたヨーロッパで流行していた「実存主義」(管理社会の中で生まれた平均化された自己ではなく、個々が真実の自己の生き方を探求する動き)とも共通します。また、ほぼ同時期にアメリカで起こった「アクション・ペインティング」にも通じる部分があります。

 

 

今井俊満の代表作と解説

 

今井俊満は何度か作風を変化させながら作品制作を行っていますが、なかでも人気が高いのはやはりアンフォルメル全盛期の作品でしょう。もっとも今井俊満らしいともいえるアンフォルメル全盛期の作品を1点紹介します。

 

 

晩秋

 

『晩秋』(1856~57年)は、今井俊満がアンフォルメルの提唱者であるミッシェル・タピエに出会った翌年に描かれました。195×114cmのカンヴァスに油絵具を激しいタッチで塗り重ねた、ダイナミックな作品です。

 

カンヴァスからはみ出さんばかりの絵具が今井俊満の激情や生命力を表現しています。しかし、暗い背景に配置された白、赤、黄色などの色彩からは晩秋の季節感も感じられ、結果として激しさと静けさが同居する不思議な魅力を醸し出しています。

 

また、ちょうど『晩秋』を制作していた1956(昭和31)年の秋に、今井俊満は父親を亡くしています。そのときの今井俊満の心情が作品制作に影響したとも考えられるでしょう。

 

 

今井俊満の作品が鑑賞可能な群馬県立近代美術館

 

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

先ほど紹介した今井俊満の『晩秋』は、群馬県の高崎市にある群馬県立近代美術館で観賞できます。

 

1974(昭和49)年に開館した群馬県立近代美術館は、国内外で数々の賞を受賞している建築家の磯崎新(いそざきあらた)によって設計されました。群馬県立近代美術館はその建築自体が磯崎新の代表作として高く評価されており、館内にも群馬県ゆかりの作家や国内外の近代美術、織物、日本と中国の古書画を中心とした貴重なコレクションを展示しています。

 

今井俊満の迫力のある作品は、生で観ることでより一層魅力が伝わります。興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

 

群馬県立近代美術館の公式HPはこちら

 

 

今井俊満の作品の買取価格と相場

 

四季図(版画)

 

今井俊満の作品は、制作した時期によって価値が異なるのがポイントです。1960年代から1970年代にかけて制作されたアンフォルメル全盛期の作品が最も高く評価されます。続いて1980年代から1990年代にかけて制作された「花鳥風月」シリーズは落ち着いた価格帯、最晩年に制作されたコギャルや人物を描いた作品は今井俊満のなかではもっとも厳しい評価となるでしょう。

 

具体的な買取価格としては、今井俊満の作品のなかで中間的な価格帯である「花鳥風月シリーズ」が一般的に数万円程度で取引されます。ただし、買取価格は作品の状態によっても変わるので、気になる方はお気軽にお声かけください。

 

 

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