ジュリアン・オピーとは?浮世絵にも影響を受けた画家の代表作品や落札価格相場を解説

2022/05/17 ブログ

ジュリアン・オピーとは?浮世絵にも影響を受けた画家の代表作品や落札価格相場を解説

ジュリアン・オピー_Shaida Walking

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1958年生まれのジュリアン・オピーは、現在もロンドンで活躍中の現代美術家です。シンプルで都会的な絵画や彫刻、商業美術などを多く手がけ、その作品は世界中の名だたる美術館に所蔵されています。

 

ジュリアン・オピーは日本ともゆかりが深く、その作品は浮世絵から影響を受けていることでも知られています。今回は、近年アート市場でも注目が高まっているジュリアン・オピーについて、代表作品や落札価格の相場を解説します。

 

ジュリアン・オピー公式サイトはこちら  

 

 

ジュリアン・オピーの略歴

 

Westminster, London ウェストミンスター、ロンドン

ロンドンの風景

出典元:flickr

 

ジュリアン・オピーは1958年にイギリスの首都ロンドンで生まれました。青年期までをイングランド東部のオックスフォードで過ごしたジュリアン・オピーは、著名人を多く輩出しているドラゴン・スクール、マクダレン・カレッジ・スクールに通いました。

 

 

1978年:チェルシー・スクール・オブ・アートやゴールドスミス・カレッジで絵画を学ぶ

 

ジュリアン・オピーは、1978年にロンドンのチェルシー・スクール・オブ・アート(現在のチェルシー・カレッジ・オブ・アーツ)へ入学しました。翌年からは同じくロンドンにあるゴールドスミス・カレッジへ通います。

 

ゴールドスミス・カレッジは、もともとは金銀細工を取り扱うギルドが技術を学ぶために設立した研究所で、美術教育が盛んな大学です。ジュリアン・オピーはゴールドスミス・カレッジで画家のマイケル・クレイグ・マーティンに師事しました。

 

 

1980年代:風景や人物などの作品でヨーロッパのアートシーンにて支持を受け始める

 

1983年にゴールドスミス・カレッジを卒業したジュリアン・オピーは、ロンドンの老舗画廊リッソン・ギャラリーで行われたグループ展に参加します。この展覧会では、キース・へリングなどの著名な画家の作品と並んでジュリアン・オピーの作品が展示されました。

 

ジュリアン・オピーの描く風景や人物などの作品は、独特の批評性とユーモアで人気を呼びました。若くしてギャラリーで成功を修めたジュリアン・オピーは、イギリスのみならずヨーロッパ中で注目の新人として話題になります。

 

 

1993年:ロンドンのヘイワード・ギャラリーで大規模回顧展を開催

 

ヘイワード・ギャラリー

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

1993年、ジュリアン・オピーの大回顧展がロンドンのヘイワード・ギャラリーで開催されました。ヘイワード・ギャラリーは、ロンドンのサウス・バンクにある美術館です。

 

また、同年ジュリアン・オピーは、第45回ヴェネツィア・ビエンナーレにも参加します。ヴェネツィア・ビエンナーレはイタリアのヴェネツィアで隔年で開催される、国際的な現代美術の祭典です。

 

 

1990年代以降:日本にて何度も個展を開催

 

ジュリアン・オピーは、1991年に愛知県名古屋のコオジオグラギャラリーで個展を開催しました。また、2006年にはジュリアン・オピーの作品が表参道ヒルズのオープニングイベントにおいてディスプレイされて話題になります。

 

さらに、2008年には茨城県の水戸芸術館現代美術ギャラリーで、2019年には東京オペラシティ アートギャラリーで個展を開催しています。

 

特に東京オペラシティ・アートギャラリーで開催された個展「ジュリアン・オピー Julian Opie」では、ジュリアン・オピー自身が選んだ絵画や彫刻の最新作が展示されて注目を集めました。

 

2014年のUNIQLOとのコラボなども経て、近年ジュリアン・オピーは日本でもファンを増やしています。ジュリアン・オピーは現在ロンドンで制作に励んでおり、世界中の多くのファンが彼の今後の作品を心待ちにしています。

 

 

ジュリアン・オピーの作品の世界観

 

Shaida Walking(2015)

出典元:ウィキメディア・コモンズ

 

ジュリアン・オピーの作品は、ピクトグラム(公共の場での案内などに使われる絵を用いたシンプルな記号)を思わせるような簡略された表現が特徴です。無駄を省き、最小限の点と線、そして陰のない平面的な色彩表現で構成された彼の作品からは、洗練された都会的なイメージを感じ取る人も多いでしょう。

 

ジュリアン・オピーは、点と線のみで対象物の個性を際立たせ、風景や人物を生き生きと描ききる、ずば抜けた力を持っています。彼の作品は独特の批評性やユーモアを持ち、そのインパクトのある作風は世界中の多くのファンを魅了し続けてやみません。

 

輪郭線が強調されたデザインも、ジュリアン・オピーの作品の特徴です。ジュリアンオピーが描く太い輪郭線は、日本の浮世絵から着想を得たものです。ジュリアン・オピーは日本の美術にも造詣が深いことで知られています。

 

ジュリアンオピーが手がけるのは絵画作品だけではありません。ビル群などを表現した立体作品も制作しています。また、「Blur」(イギリスを代表するロックバンド)のアルバムジャケットの制作や、英国ロイヤルバレエ団や「U2」(アイルランド出身の人気ロックバンド)のステージデザインなども手がけ、多方面で活躍を見せています。

 

 

ジュリアン・オピーの代表作品を解説

 

それでは、ジュリアン・オピーの制作した代表的な作品をいくつか紹介します。

 

 

ポートレイト

 

Julian Opie, 20 x 16 inch silkcreen print, $4300 USD (thx Jess!)

Elena Schoolgirl

出典:flickr

 

ジュリアン・オピーは、1997年頃から身近にいる友人や知人のポートレイトを描き始めました。しばらくすると、ジュリアン・オピーはアートコレクターからの注文で著名人の顔を描くようになっていきます。これらのポートレイトの多くは、描かれた人の名前がそのままタイトルになっているのが特徴です。

 

ジュリアン・オピーのポートレイトでは、喜怒哀楽のないニュートラルな顔が描かれています。しかしながら、モデルのふとした仕草や目線をうまく捉えているため、生き生きとした個性と存在感を感じ取ることができるでしょう。ポートレイトはとても人気のあるシリーズで、ジュリアン・オピーの代表作といえます。

 

 

歩く人々

 

alone in a crowd - P1000857出典:flickr

 

歩く人々を描いた作品も、ポートレイトと並んでジュリアン・オピーを代表するシリーズです。このシリーズでは街を行き来するさまざまな人々を躍動感たっぷりに描いています。歩いている姿や目や鼻の省略された顔は、全て横向きで表現されます。

 

歩く人々はポートレイトと比較してより簡略化された表現がされていますが、体型や服装、髪型、持ち物などからその人の個性が見て取れるでしょう。これらの人々をLEDディスプレイで表現したユニークな作品もあり、東京オペラシティ アートギャラリーで2019年に開催された個展では、人々が動く様子を表現した作品に注目が集まりました。

 

 

風景画

 

I hate to be Johnny Poseur Art Guy, but man, I love love love just about everything Julian Opie does.  (just found this after spending too much time with Google Image Search)

出典元:flickr

人物画で有名なジュリアン・オピーですが、風景画も制作しています。これらの風景画は人物画と同じように、遠近感のない平面的な色彩で構成されているのが特徴です。

 

極端にシンプルにとぎ澄まされたジュリアン・オピーの風景画からは、実際の場所を特定することは困難でしょう。そのため、鑑賞者は自らの見たことのある風景にあてはめて、想像力の翼を羽ばたかせながら自由に楽しむことが可能となります。

 

ジュリアン・オピーの描く風景画、そして歩く人々などが多くの人の心を魅了するのは、場所や人物を特定しないことで鑑賞者に想像の余地を与えているからだと考えられます。それにより、絵と鑑賞者がより近くに歩み寄ることが可能となるのです。

 

 

ジュリアン・オピーの作品の落札価格とその価値について

 

近年、ジュリアン・オピーの作品は、予想落札価格を上回って落札されることが目立ちます。それでは、ジュリアン・オピーのオークションでの落札価格について紹介します。

 

 

2021年:Hijiri with umbrella|約339万円

 

2021年の8月にロンドンで開催されたサザビーズの現代アートオークションにおいて、ジュリアン・オピーの『Hijiri with umbrella』が約339万円という高値で落札されました。

 

『Hijiri with umbrella』は、女優の小島聖を描いた作品です。小島聖は1976年生まれの女優で、やわらかい自然体の存在感で知られています。

 

 

2019年:New York Couple|約172万円

 

2019年、ジュリアン・オピーの『New York Couple』が、現代美術を中心に扱うSBIオークションにおいて約172万円で落札されました。

 

予想落札価格の100万円~150万円を上回る結果に、多くのファンが注目しました。

 

 

ジュリアン・オピーの作品の買取相場

 

ジュリアン・オピーの作品のうち、国内に多く流通しているのは版画です。版画の買取については、サイズ・モチーフ・色合い・限定部数の記載やサインの有無などが評価のポイントとなります。他にも作品のコンディションなども含めて細かい点はありますが、買取金額は数万円台から100万円以上までさまざまです。

 

ジュリアン・オピーは注目の作家であるため、今後相場の変動がある可能性もありますが、買取時の相場をもとにご提案させていただくのでお気軽にご相談ください。 また、問合せいただいたタイミングで買取金額が若干変わる可能性があります。

 

 

ジュリアン・オピーに関する豆知識(トリビア)

 

ジュリアン・オピーに関する注目のトリビアをいくつか紹介します。

 

 

ジュリアン・オピーは浮世絵のコレクター

 

ジュリアンオピーが描く太い輪郭線が、日本の浮世絵から着想を得ているということは先ほども紹介しました。実は、ジュリアン・オピーは日本の美術に造詣が深いだけでなく、実際に歌川広重、喜多川歌麿などの浮世絵をコレクションしていることでも知られています。

 

また、ジュリアン・オピーが安藤広重や葛飾北斎の浮世絵から影響を受けて制作した絵画や映像作品も存在し、これらは東京国立近代美術館でも鑑賞できます。

 

 

電通ビル内への作品展示やユニクロとのコラボなど日本との関わりも深い

 

2021年の9月30日に売却されることが発表された電通本社ビルのなかには、ジュリアン・オピーの作品『歩いて仕事に行く夢を見た』(2002年)が展示されていました。

 

電通本社ビルのなかには、ほかにもオノ・ヨーコや横尾忠則などのアート作品が展示されていましたが、多くの作品はセキュリティ・ゲートの奥にあったため、関係者しか目にすることができません。そのなかで、セキュリティ・ゲートの外にあって誰でも目にすることができたジュリアン・オピーの作品は、多くの人々に親しまれてきました。

 

他にも、2006年の表参道ヒルズのオープニングイベントでジュリアン・オピーの作品がディスプレイされたり、2014年にはUNIQLOとのコラボ商品が発表されたりしています。ジュリアン・オピーは日本ともかかわりの深い作家といえるでしょう。

 

 

東京国立近代美術館をはじめとした世界各国の美術館でジュリアン・オピーの作品を収蔵

 

東京国立近代美術館

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

ジュリアン・オピーの作品は、東京国立近代美術館をはじめとした世界中の著名な美術館に収蔵されています。日本国内でも鑑賞できるので、興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

 

〈ジュリアン・オピーの作品を収蔵している美術館〉

東京国立近代美術館(日本、東京)
国立国際美術館(日本、大阪)
・ニューヨーク近代美術館(アメリカ、ニューヨーク) ・大英博物館(イギリス、ロンドン)
・テート・モダン(イギリス、ロンドン)
・ステデリック美術館(オランダ、アムステルダム) など

 

 

ジュリアン・オピーの作品は強化買取中

 

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情報参考サイト

日本現代美術振興協会

モダンアート協会

MOMA

東京都現代美術館

文化庁

文部科学省