KAWS(カウズ)は現代アーティストとしてなぜ人気?コンパニオンなどの代表作をもとに作品の世界観や落札価格TOP3をランキング形式で発表
KAWS(カウズ)は現代アーティストとしてなぜ人気?コンパニオンなどの代表作をもとに作品の世界観や落札価格TOP3をランキング形式で発表
ストリートアーティスト、デザイナーとして活躍するKAWS(カウズ)は、コンパニオンという目がバツのキャラクターやシニカルでユーモアたっぷりの作風で知られています。バンクシーを始めとするストリートアーティストは違法性・匿名性を特徴とする場合が多いですが、KAWSは本名と素顔を公開しているという点で珍しいアーティストでもあります。
今回は、世界中に熱狂的なファンが存在し、近年高額で取引されて話題となっているKAWSについて紹介します。
KAWS(カウズ)とは?略歴を紹介
スクール・オブ・ビジュアル・アーツ 東校舎外観
出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
KAWS(本名:ブライアン・ドネリー Brian Donnelly)は、1974年にニュージャージー州のジャージーシティで生まれました。小学生の頃からグラフィティ(主にスプレー缶を用いて公共の場に文字や絵をかくこと)に取り組み、10代で「KAWS」というタグ(グラフィティー・アーティストが使うサイン)を使い始めます。
KAWSは1990年代にニューヨークへ進出し、グラフィティによって少しずつ名前が知られるようになりました。
1993~1996年:学校でイラストレーションを学ぶが、ストリートアートに移行
KAWSは1993年にスクール・オブ・ビジュアル・アーツへ入学し、1996年に卒業しました。その後はディズニーでフリーランスのアニメーターとして短期間働き、名作『101匹わんちゃん』の制作にも携わっています。
その後ストリート・アートに力を入れ始めたKAWSは、ニューヨークのバス待合所や電話ブースにある看板広告にオリジナルのイラストをかき足して意味を変えてしまう「Subvertising(サブバータイジング)」を行うようになります。これらはのちに多くの出版物に取り上げられ、パリのセレクトショップ「コレット」や東京のPARCOギャラリーなどで展示されました。
1999年、KAWSはバウンティ・ハンターという日本のブランド会社からの依頼で日本を訪れます。このときに制作したのが、いまや彼の代名詞にもなっている目が×印のキャラクター「コンパニオン」です。500体限定で制作されたコンパニオンのビニールトイはまたたく間に売り切れました。
2010年:アルドリッチ現代美術館で美術館初個展「Passing Through」を開催
2008年よりエマニュエル・ペロタンが経営する現代美術ギャラリーで作品を展示し始めたKAWSは、2010年に初めての美術館での個展「Passing Through」を開催します。この個展が行われたのは、アメリカのコネチカット州リッジフィールドにあるアルドリッチ現代美術館です。その後、KAWSの個展は世界中の美術館で開催されるようになりました。
また、この年にはKAWSの大型彫刻作品『Passing Through』が、香港、パリなどで巡回展示されました。この作品では、座っているコンパニオンが顔を手で覆っている様子を表現しています。
2014年:ハーバーシティー(香港)にて自身最大級の彫刻作品「CLEAN SLATE」を披露
出典元:flickr
2014年、香港の大型ショッピングモール「ハーバーシティ」で『Passing Through』を上回る大きさで高さが7mある巨大彫刻作品『CLEAN SLATE』が披露されました。ハーバーシティは2010年の個展「Passing Through」が巡回して多くのファンを沸かせた会場でもあります。
『CLEAN SLATE』は、「過去を洗い流して次の段階にふみ出そう」という意味を持っています。この作品では、大きなコンパニオンが小さなコンパニオンふたりを抱きかかえている様子が表現されています。
2021年:日本初大型個展「KAWS TOKYO FIRST」を開催
2021年7月16日(金)から10月11日(月)にかけて、東京の森アーツギャラリーでKAWSの日本初大型個展「KAWS TOKYO FIRST」が開催されました。初期の作品から最新の作品までを鑑賞しながらKAWSの軌跡をたどれるこの展覧会では、150点以上の絵画や彫刻が展示されました。
KAWSは、2001年にも渋谷パルコで同じタイトルの小規模な個展を行っています。「KAWS TOKYO FIRST」というタイトルには、20年後の日本において「原点回帰」をするという強い想いが込められました。
KAWSはいまや世界的な現代アーティストであり、有名人や著名人のファンが多いことでも知られています。コンパニオンの大型彫刻に世界旅行をさせたり、有名ブランドとコラボを行ったり、次々に繰り出されるユニークな企画で私たちを楽しませてくれるKAWSは、現在もニューヨークのブルックリンを拠点として制作に励んでいます。
KAWS(カウズ)はなぜ人気なのか
さて、KAWSが世界中のファンから熱烈に愛されている理由について検証してみましょう。
アパレルブランドと多数コラボレーションしているため
KAWSは1990年代に、ハイブランドの「Calvin Klein(カルバン・クライン)」やセレブに人気のストリートブランド「GUESS(ゲス)」の広告を使ってサブバータイジングを行い、セレブからの注目を集めることに成功しました。
さらに、2000年頃から誰もが知っているアパレルブランドとのコラボにも積極的に取り組んでいます。KAWSとコラボしているブランドは多岐にわたりますが、ハイブランドの「Dior(ディオール)」やストリートファッションブランドの「Supreme(シュプリーム)」や「A BATHING APE®(ア・ベイシング・エイプ)」、スポーツブランドの「Nike(ナイキ)」などが挙げられます。
このようなコラボレーションによって、KAWSは美術界のみならずファッション界からも多くのファンを獲得しました。
世界的な人気キャラクターをモチーフにした目がバツの作品を制作するため
出典元:flickr
KAWSの代名詞ともなっているコンパニオンというキャラクターが、ミッキーマウスをモチーフとしていることは、そのいでたちをよく見れば一目瞭然でしょう。KAWSは他にもSnoopy(スヌーピー)、Sponge Bob(スポンジ・ボブ)などの人気キャラクターをモチーフとした作品を多く制作しています。
KAWSは子どもから大人まで誰もが知っている有名なキャラクターを、目がバツのキャラクターとして生まれ変わらせました。既存のキャラクターに違う命を吹き混むことで、KAWSはもともとのキャラクターのファンを取り込みながら新たなファンを獲得することに成功したのです。
KAWS(カウズ)の作品の世界観
出典元:flickr
KAWSの作品は、鮮やかな色と強調された線、そして目や手、鼻、耳などにバツが描かれているのが特徴です。これらは多くのストリートアートと同じようにあらゆる世代や文化を超えて、直感的に楽しめるのが魅力です。さらに、KAWSは人気キャラクターをモチーフとしたユーモアたっぷりの作品を制作することで多くのファンの心をつかみました。
ときにシニカルに、ときにナイーブに表現されるKAWSの描くキャラクターは、現代人の心をそのまま再現したもののようにも感じられます。近年KAWSの評判はますます高まり、彼の作品は美術品のコレクターだけでなく、都会的でおしゃれな若者やセレブからも大いに注目されています。
ちなみに、KAWSというタグには意味がなく、文字の見え方が気に入ったという理由で決めたものだそうです。これは、現代美術における「作品のなかに何か深い意味を込めるのではなく、作者が表現したい色や形をそのまま作品にする」「その作品の意味や受け取り方は鑑賞者にゆだねられる」といったひとつの側面に通じるものがあります。
KAWS(カウズ)の代表作品を解説
それでは、人気キャラクターをモチーフとしたKAWSの代表作品について解説します。
コンパニオン
出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コンパニオンは、KAWSの生み出した最も有名な作品のひとつといえます。体つきやそのいでたちからわかるようにミッキーマウスをベースとしていますが、目がバツになっていて頭から2本の骨が突き出ているのが特徴です。
コンパニオンは『Passing Through』『CLEAN SLATE』『HOLIDAY』などの大型立体作品になっているほか、絵画作品にも登場しています。コンパニオンの多くはややうつむき加減で、内気な様子をしています。「仲間」という意味を持つコンパニオン(COMPANION)は、忙しい毎日に疲れた現代人にそっと寄り添ってくれる存在とも考えられます。
KIMPSONS
『KIMPSONS』は、アメリカの人気テレビアニメ『The Simpsons(ザ・シンプソンズ)』をモチーフとして制作された作品です。1989年に放送を開始した『The Simpsons』は、アメリカ史上最長のテレビアニメであり、現在世界中で翻訳されて放映されています。
『KIMPSONS』では、『The Simpsons』の登場人物の服装や体型はそのままに、目がバツで表現されています。
UNTITLED (MBFA6)
『UNTITLED (MBFA6)』はスヌーピーをモチーフとした作品です。スヌーピーとはアメリカのチャールズ・モンロー・シュルツが1950年から書き始めた漫画『ピーナッツ』に登場する犬で、主人公チャーリー・ブラウンの飼い犬です。
『UNTITLED (MBFA6)』はスヌーピーの頭だけを拡大して鮮やかな色で描いたユニークなアクリル作品です。
KAWS(カウズ)のコラボ商品
KAWSは数々の有名ブランドとコラボレーションしています。そんなKAWSが最近制作したコラボ商品を3つ紹介しましょう。
UNIQLO(ユニクロ)
2021年、KAWSはUNIQLOのグラフィックTシャツブランド「UT」とコラボして、Tシャツやトートバッグを販売しました。この「KAWS UT」は、同年東京の森アーツギャラリーで行われたKAWSの日本初大型個展「KAWS TOKYO FIRST」にちなんで実現したコラボレーションです。
これより前にも、KAWSとUNIQLOは2016年から3年に渡ってコラボ商品を販売したことがありました。
NIKE(ナイキ)エアジョーダン
2017年の3月にKAWSとNIKEのコラボ商品を発表しました。この商品は1989年にティンカー・ハットフィールドが手掛けた「AIR JORDAN IV(エアジョーダン4)」をベースにしたスニーカーで、後ろ側(かかとの部分)にKAWSを象徴するふたつのバツがデザインされています。
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)
人気のアウトドアウェアブランドTHE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)とKAWSがコラボコレクションを制作しました。このコラボコレクションはメンズ、レディース、キッズ向けで展開されており、KAWSを象徴するふたつのバツなどが、THE NORTH FACEのマウンテンジャケットやTシャツ、バッグ、グローブなどのさまざまなアイテムにデザインされています。
2022年1月7日より中国で先行販売されたこのコレクションは、2月17日からグローバルリリースされます。
KAWS(カウズ)作品の落札価格ランキングTOP3(2021年時点)
最後に、近年最も高値で取引されたKAWSの作品をランキング形式で紹介したいと思います。
第3位:The Walk Home / 帰り道|約6億5,505万円(2016年)
第3位の『The Walk Home ( 帰り道)』は、アメリカの人気アニメキャラクターSponge Bob(スポンジ・ボブ)をモチーフとした作品です。この作品は2016年の5月、ニューヨークで行われたフィリップス20世紀&現代アートイブニングセールにおいて、約6億5,505万円で落札されました。購入希望者3名が競り合ったために予想落札最高価格8,800万円の7倍を超える高値での取引となりました。
第2位:Untitled (Kimpsons #1) / 無題(キンプソンズ #1)|約8億1,027万円(2019年)
第2位の『Untitled (Kimpsons #1)/ 無題(キンプソンズ #1) 』は、アメリカのテレビアニメ『The Simpsons(ザ・シンプソンズ)』をモチーフとしています。この『The Simpsons』をモチーフとするシリーズは近年高値で取引されることが多いのですが、なかでもこの作品はサイズが大きいために第2位にランクインしました。2019年の10月、サザビーズ香港の現代アートイブニングセールに出品され、KAWSの作品の中で過去2番目に高額である約8億1,027万円で落札されています。
第1位:The KAWS Album / カウズ・アルバム|約16億2,352万円(2019年)
第1位は、2019年4月1日に香港のサザビーズオークションに出品された『The KAWS Album (カウズ・アルバム)』です。この作品は『The Simpsons』をモチーフとする作品のうちのひとつで、日本のファッションデザイナーであり、ストリートファッションの先駆者でもあるNIGO®の個人コレクションとして出品されました。
『The KAWS Album』の落札予想価格は約8,400万から約1億1,200万円とされていましたが、約15倍にもなる高値で落札され、大きな話題となりました。
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