キース・ヘリングはどんなアーティスト?死因から作品の買取相場まで徹底解説

2021/12/27 ブログ
キース・ヘリング_Barking Dog

キース・へリングは、1980年代にアメリカで活躍したポップ・アートの代表的な芸術家です。1980年代のアメリカでは、クラック(コカインの一種)の流行やエイズの蔓延が大きな問題となっていました。キース・へリングはこのような問題にアートの力を持って立ち向かったことで知られています。

 

今回は、31年という短い生涯の中でさまざまな社会貢献を行いながら、多くの名作を残したキース・へリングの作品やその魅力について解説します。

 

 

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

 

キース・ヘリング(Keith Haring)の略歴

 

キース・へリングは、1958年にアメリカのペンシルベニア州で生まれました。20歳頃にニューヨークの私立学校、スクール・オブ・ビジュアル・アーツに入学し、さまざまな芸術的刺激を受けました。

参考:若者に人気のキース・へリングの代表作を紹介

 

1980年:NYの地下鉄にて「サブウェイ・ドローイング」をするようになる

 

キース・へリングがニューヨークの人々に広く知られるようになったきっかけは、彼が行った「サブウェイ・ドローイング」です。地下鉄構内の使われていない広告板に落書きのようなタッチで描かれるユニークなアートに、通勤中の人々は日に日に心奪われていきました。

 

キース・へリングの芸術家としての歩みは、老若男女、富める人、貧しい人、あらゆる人が利用する地下鉄の構内を舞台として、スタートを切りました。

 

 

1986年:美術館では初となる個展をアムステルダム市立美術館で開催

 

アムステルダムの壁画

出典元:ウィキメディア・コモンズ

 

ニューヨークでポップ・アーティストとしての地位を固めることに成功したキース・へリングは、徐々に活動の舞台を世界へと広げていきます。

 

1982年には、キース・へリングにとって初めてとなるアメリカ国外での展覧会が、オランダのロッテルダムで開催されました。その展覧会を足がかりにして、1986年にはオランダのアムステルダム市立美術館にて、美術館では初となるキース・へリングの個展が開催されます。

 

個展のためにアムステルダムを訪れたキース・へリングは、アムステルダム市に寄贈するための壁画も制作しています。この15m×12mの壁画は今もアムステルダムの史跡として残っています。

 

 

1989年:キース・ヘリング財団を創設

 

キース・へリングは“ART IS FOR EVERYBODY.(アートは大衆のためにある)”をモットーとして、自身がデザインしたさまざまな作品をリーズナブルな価格で販売する「ポップショップ」の創設や、アートを通じたコカインの撲滅キャンペーン、病院や孤児院のための作品制作などの様々な活動を行いました。

 

1988年にエイズの診断を受けたキース・ヘリングは、翌年にエイズに関する啓発活動や子どもへの福祉活動の継続を目的として、キース・へリング財団を創設します。キース・へリングは最期まで“ART IS FOR EVERYBODY.”という姿勢を貫きました。

参考:キース・ヘリング財団

 

 

1990年:31歳で亡くなる

 

1990年、キース・へリングは31歳という若さにありながら、エイズによる合併症が原因でこの世を去ります。ニューヨークのセント・ジョン・ザ・ディヴァイン大聖堂にて、キース・へリングの追悼式が行われました。

 

キース・へリングの遺志はキース・へリング財団に引き継がれ、現在もさまざまな社会貢献活動が行われています。

 

 

キース・ヘリングの作品の世界観

 

バルセロナの壁画

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

キース・へリングの作品の特徴は、一見落書きのようなシンプルで力強い線が用いられているということです。このような作風は、犯罪現場にチョークで残される人型のマークを連想させることから、「チョーク・アウトライン形式」と呼ばれることもあります。

 

キース・へリングの原点である「サブウェイ・ドローイング」では、人の目に触れないように短時間で素早く書き上げる必要があったため、このような作風がふさわしかったのでしょう。

 

また、キース・へリングは“ART IS FOR EVERYBODY.(アートは大衆のためにある)”をモットーとして、大衆に寄り添った芸術活動を行ったアーティストです。子どもでも理解できるような単純な構図や、親しみやすい明るい色を多く用いたのはそのためです。

 

キース・へリングはそのシンプルで親しみやすい作品を通じて、生と死、愛、性、などのさまざまな概念を表現し、コカインやエイズに関する啓発や反戦などを強く訴えました。

 

 

キース・ヘリングの代表作

 

キース・へリングは、太く力強い線を使ってシンプルでわかりやすい構図の作品を制作しました。独特の作風でメッセージ性の強い作品をこの世に送り出したキース・へリングの代表作をいくつか紹介します。

 

 

Barking Dog

 

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

「Barking Dog(吠える犬)」は、あらゆる場所、あらゆる作品で繰り返し用いられたモチーフです。犬が吠えている様子を表現しているように見えますが、「動物」を表現するためのひとつの象徴として描かれているとも考えられています。また、「Barking Dog」は行動性や懐疑心を表すシンボルとして扱われることもありました。

 

キース・へリングが亡くなった1990年に出版された『イコンズ』というシルクスクリーン作品は、吠える犬、光輝く赤ん坊、天使、飛ぶ人間、三つ目のモンスターというキース・へリングがよく用いた5つのモチーフで構成されています。

 

 

Safe Sex

 

キース・ヘリングは、「Safe Sex(安全なセックスを)」という文字の入った作品を多く制作しています。これらの作品は男性器を表現したある意味露骨なデザインとなっています。誰にでも一目で理解できるアートを目指したキース・へリングらしいといえるでしょう。

 

晩年自らもエイズと診断されたキース・へリングは、エイズの撲滅を目指したさまざまな芸術運動を積極的に行っていました。

 

 

Ignorance = Fear

 

1989年、エイズと診断された翌年に、キースへリングは『Ignorance = Fear』と題する作品を制作しました。作品の上部には「IGNORANCE = FEAR(無知=恐怖)」、下部には「SILENCE=DEAD(沈黙=死)」と大きく書かれています。中央には目をふさいだ人、耳をふさいだ人、口をふさいだ人がそれぞれ大きく描かれています。

 

この作品は、エイズと戦うキース・へリングから人々へ送られた切実なメッセージといえます。エイズに対する正しい知識を知り、それを広めていくことの大切さを訴える作品です。

 

 

「中村キース・へリング美術館」で作品の鑑賞が可能

 

出典元:ウィキメディア・コモンズ

 

中村キース・へリング美術館は、2007年に開館した山梨県にある美術館です。キース・へリングの作品のみを専門的に集めている世界で初めての美術館として知られており、彼の作品約300点をこの美術館で収蔵しています。

 

「闇の展示室」「希望の展示室」「自由の展示室」などと名付けられた展示室では、キース・へリングの版画や彫刻など、さまざまな作品を鑑賞できます。

 

名称 中村キース・へリング美術館
営業時間 9:00~17:00(最終入館16:30)
料金 一般1,500円/障害者600円/16歳以上の学生600円/小人(15歳以下)無料/団体(20名以上)1,000円
住所 〒408-0044 山梨県北杜市小淵沢町10249-7
電話番号 0551-36-8712
公式HP https://www.nakamura-haring.com/

 

 

キース・ヘリングのコラボグッズ

 

キース・へリングは、誰もが知っているような世界的に有名なブランドとさまざまなコラボ作品を制作しています。キース・へリングとのコラボグッズを販売しているブランドについて紹介します。

 

 

COACH(コーチ)

 

COACH(コーチ)は、1941年にニューヨークで創立されたブランドです。丈夫で品質の良いアイテムを制作することで知られており、頭文字のCを使ったモノグラムがほどこされたバッグや財布は特に有名です。

 

COACHとのコラボグッズには、キース・へリングの作品によく登場するUFOやハート、吠える犬などがデザインされたトートバックや財布、ショルダーバッグなどがあります。

 

 

NEW ERA(ニューエラ)

 

1920年に創業したNEW ERA(ニューエラ)は、スポーツ用品を取り扱う老舗ブランドです。ストリートファッションによく取り入れられ、特に平つばのキャップが人気です。

 

「ニューエラキャップ」と呼ばれることもある平つばのキャップに光り輝く赤ん坊が刺繍されたものや、キース・へリングの作品が刺繍されたパーカーなどがあります。

 

 

UNIQLO(ユニクロ)

 

カジュアルウェアのブランドとして有名なUNIQLO(ユニクロ)では、多くのアーティストとのコラボ作品を制作しています。キース・へリングのコラボグッズとしては、光り輝く赤ん坊や、吠える犬が印刷されたTシャツが人気です。

 

ユニクロでは、キース・へリング以外にもポップ・アートの巨匠アンディ・ウォーホルや、ジャン=ミシェル・バスキアとのコラボグッズも生産されています。

 

 

キース・ヘリングの作品の落札価格とその価値について

 

オークションではキース・ヘリングの作品はどのように扱われるのでしょうか?ストリートアートのジャンルの中でも特に人気の高いキース・へリングの作品について、落札価格やその価値についても目を向けていきたいと思います。

 

 

2019年:Dog|632万円

 

2019年10月26日に開催されたSBIアートオークションの「Harajuku Auction」にて、キース・へリングの『Dog』が約632万円という高額で落札されました。

 

『Dog』は115.5cm✕89.2cmのリトグラフ作品です。

 

 

2019年:Lucky Strike|138万円

 

同じく2019年10月26日の「Harajuku Auction」にて、キース・へリングの『Lucky Strike』が138万円で落札されました。

 

『Lucky Strike』は、『Dog』より小さい29.5cm✕20.7cmのシルクスクリーン作品です。ちなみに、「Lucky Strike」とはアメリカのたばこブランドです。

 

 

2019年:ストリートアーティストのオークション売上ランキング第3位

 

キース・へリングは、2019年のオークション売り上げランキングにおいて、ストリートアートのジャンルで第3位となっています。同時代に活躍したポップ・アーティストのジャン=ミシェル・バスキア(第1位)とともに、高順位を記録しました。

 

2019年に高額で落札された『Dog』と『Lucky Strike』の影響も大きかったと考えられます。これらはいずれも事前の落札予想価格を上回る金額で落札されました。

 

オークションの売上高の推移については、こちらでご確認いただけます。 

 

 

キース・へリング作品の買取相場

 

作品自体が持っている魅力、希少性、アーティストの知名度という3つの要素が密接にかかわり合って決まるのが、アート作品の価値です。アーティストの知名度は死後に高まることもあるので、必然的に作者が亡くなった後にアート作品の価値が高まることもよくあるでしょう。

 

キース・へリングの作品もそのひとつで、彼の死後にさらに人気が上昇しました。現在の相場としては、1点当たりが平均して30,000円~100,000円程度となっています。なかにはもっと高く、100万円以上で取引されるものもあります。

 

 

キース・ヘリングの作品は強化買取中

 

太く力強い線を用いた独特の作品を制作し、アートを通してさまざまな社会貢献活動を行ったのがキース・へリングです。31歳という若さで惜しまれつつ亡くなったキース・へリングの作品をご自宅にお持ちで、売却を検討している方がいらっしゃいましたらぜひ当社にご相談ください。丁寧に鑑定させていただきます。

 

また、鑑定経験が豊富な美術品買取専門店、株式会社獏では、ご希望により簡単・手軽・便利の全てを実現したLINE査定も可能です。 余計な手間や時間を一切かけずに査定できるので、仕事や家事で忙しい方に人気です。

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【関連作家】

ロイ・リキテンスタイン