KYNE(キネ)とは?福岡出身の現代アート作家がなぜ人気なのか徹底解説|アート作品の落札価格や購入方法についても紹介
KYNE(キネ)とは?福岡出身の現代アート作家がなぜ人気なのか徹底解説|アート作品の落札価格や購入方法についても紹介
KYNE(キネ)は、日本画をベースとしたポートレート画を描く、福岡出身のアーティストです。現代的なクールな女性をモノクロで描き、その都会的で媚びない美しさを持つ作品は男女問わず多くの人から人気を得ています。
KYNEは、顔も本名も公開していない謎に包まれたアーティストです。今回はそんなKYNEの略歴や作品の魅力などに迫ります。
福岡出身のイラストレーター・KYNE(キネ)とは?生い立ちや略歴を紹介
福岡の街
出典元:Unsplash
自分の素性をあまり明かしていないKYNEですが、本人のHPでは簡単なプロフィールを確認することができます。HPに載っているプロフィールや、さまざまな媒体で行われたインタビューの内容などから、彼の作風がどのように確立されていったのかを探ってみましょう。
1988年:福岡県にて誕生
KYNEは1988(昭和63)年に福岡県で生まれました。学生時代はデザイン科のある高校で油彩、彫刻、デザインなどを幅広く学びました。
この頃、油彩画の上手い同級生の影響で自分には油彩が向いていないと気付かされたといいます。さらに、人物デッサンやストリートアートのおもしろさに目覚め、スプレー缶で人物画を描くようになりました。
2006年頃:大学にて日本画を学んだ後、グラフィティアーティストとして活動を開始
これまでやってこなかったことに取り組みたいという気持ちから、大学では日本画を専攻します。
大学卒業後は日本画で学んだことをストリートアートに落とし込みたいと思うようになり、アクリルを使って線画を描き始めます。立体的でカラフルな作品が多いストリートアートの世界で、モノクロの人物画を日本画のような平面の世界観で描くというKYNEの挑戦が、ここから始まりました。
2006(平成18)年頃からアーティスト活動を本格的にスタートし、描いた人物ポートレートをステッカーに転写して街中に貼り始めました。このような活動を続けるうちに、徐々にKYNEの存在が広まっていきます。
2010年頃:クールな表情の女性を描く現在のスタイルを確立
KYNE独特のクールな表情の女性を描く現在のスタイルが確立したのは、2010(平成22)年頃だといわれています。
2020(令和2)年の個展「KYNE TOKYO 2」を記念して行われたインタビューでは、「2010年までは色々な事に興味を持って経験してきたと思います。2010年から今の作風になるんですが、それまでに自分の中で別モノと捉えていた活動が重なって答えが出たような気がします。」とKYNEが自身の言葉で述べています。
2018年:国内最大のSBIアートオークションにて、予想落札価格40〜60万円に対し、500万円超えで落札
2018(平成30)年の11月に行われたSBIアートオークションで、KYNEの作品が予想落札価格40~60万円に対して、ほぼ10倍である500万円越えで落札されました。SBIオークションとは、年間4~5回公開型オークションを開催する、国内随一のアートオークションです。
KYNEの作品は同オークションで高額で取引されており、2021(令和3)年4月にも最高予想落札価格1,400万円の約2倍である2,700万円で落札されています。
近年、国内外で個展やグループ展を開催したり、大手アパレルブランドとのコラボ作品を発表したりなどで大躍進しているKYNEは、いま最も注目されるアーティストのひとりといえるでしょう。
KYNE(キネ)の作品の世界観|作品群からなぜ人気なのかを考察
KYNEの作品は、日本画や1980年代の大衆文化などから影響を受けて独自のスタイルを確立したといわれています。
日本画にはいくつかの特徴がありますが、写真のようなリアルさを追わずに余分なものを省いて象徴的に描かれること、陰影のない平面的な表現がされること、一般的に輪郭線を用いて描かれることなどが挙げられます。このような特徴にあらわれる日本画の世界観は、KYNEの作品のベースになっていると考えられるでしょう。
また、1980年代の大衆文化、漫画やバイクカルチャーなども、KYNEの作品に影響を与えました。特に、2014年に映画化された漫画『ホットロード』や、1980年代の文化を思い起こさせるロックバンド『氣志團』との出会いも彼の中で大きな出来事となったようです。
KYNEの作品に描かれる女性からは、これといった感情を読み取ることができません。それは、観る人がそれぞれ違った感情を読み取れるように、あえてそのようにしているのだそうです。KYNEの描く「都会の街で自然体に生きる媚びない女性」は現代の価値観にマッチしており、男女問わず多くの人から人気を得ています。
KYNE(キネ)の代表作品を解説
クールで現代的な女性像を描くKYNEの作品は、いま世界中から注目を集めています。そんなKYNEの作品の中でも人気の高い、代表作品を2つ紹介します。
Untitled(2018/coffee)|シルクスクリーン
出典元:Unsplash
『Untitled(2018/coffee)』は、『Casa BRUTUS(カーサ ブルータス)』2018年4月号の表紙として描かれた作品です。『Casa BRUTUS』とは、マガジンハウスが発売する月刊情報誌で、建築、食、アートなどを中心に人生を楽しむテーマを取り扱っています。
コーヒーカップを持って少し顔を傾ける女性が描かれたこの作品では、首筋の美しさや目力の強さが印象的です。
Untitled:D・Untitled:E・Untitled:F|版画
2021(令和3)年にKaikai Kiki Galleryで行われた個展「KYNE KAIKAI KIKI」に向けて、KYNE、Gallery TARGET、Kaikai Kikiの共同事業でリリースした作品のひとつです。Kaikai Kiki Galleryは、世界的に有名な現代アーティスト村上隆が主宰する東京のギャラリーです。
2020(令和2)年に販売された『Untitled:D』『Untitled:E』『Untitled:F』には、座っている女性と立っている女性が寄り添うように描かれており、同じ構図が異なる配色で表現されています。
福岡のアトリエ兼ショップ「ON AIR」で作品の購入が可能
2017(平成29)年、福岡の人気イラストレーター「NONCHELEEE(ノンチェリー)」と共同でアトリエ兼ショップの「ON AIR」を福岡にオープンしました。このショップでは、KYNEとNONCHELEEEの作品が購入できる他、2人のラジオ番組「RADIO COCONUT(レディオ ココナッツ)」の収録も行われています。
また、2019(令和元)年には、東京支店もオープンしました。オープニングパーティーにはアーティストとして活動しながらDJとしても活躍しているテイ・トウワ(TOWA TEI)が出演し、ユーモアあふれる作風の現代アーティスト加賀美健とのコラボレーションも行われました。
KYNEの作品は2つのショップや、ON AIRのサイトからも購入できます。
ON AIR Fukuoka
ON AIR Tokyo
KYNE(キネ)と大手アパレルブランドのコラボ
KYNEのクールでポップな作風は、大手アパレルブランドからの支持も集めています。さまざまなブランドがKYNEとコラボレーションし、魅力的な作品を発表しています。
adidas(アディダス)/STAN SMITH(スタンスミス)
2021(令和3)年、adidas(アディダス)がKYNEとコラボしてスニーカーを発売しました。世界一売れたスニーカーといわれるSTAN SMITH(スタンスミス)をもとに作られており、左右で微妙に異なるブルーの色合いが爽やかでおしゃれな印象です。
STAN SMITHのシンプルなデザインとスマートなフォルムがKYNEの作風とマッチして、魅力的な仕上がりとなっています。
SOPH.(ソフ)
RAYARD MIYASHITA PARK 2階エントランス
出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1998年に設立のファッションブランドSOPH.(ソフ)は、シンプルなデザインの洗練された普段着を提供する人気のファッションブランドです。2020(令和2)年に、KYNEとコラボしたTシャツやパーカーなどを発売しました。
レイヤード ミヤシタパーク(RAYARD MIYASHITA PARK)という商業施設の中にSOPH. MIYASHITA PARKをオープンする記念に制作されたコラボ商品です。同じくレイヤード ミヤシタパークで行われた個展「KYNE TOKYO 2」に出品した作品がプリントされています。
MOUSSY (マウジー)
MOUSSY STUDIOWEARは、2019(令和元)年にSOPH.の展開するブランドF.C.Real Bristolとコラボ商品を販売しました。このコレクションには、KYNEが今回のために描き下ろしたイラストが使われています。
MOUSSY (マウジー)とは、若者を中心に人気のハイカジュアルブランドです。Tシャツやパーカーには、KYNEが描いたBristol girlsのイラストがプリントされています。
KYNE(キネ)の作品の価格上昇背景からみる買取相場
ここ数年のKYNEの作品の価格上昇には目を見張るものがあります。前述のとおり、2018(平成30)年の11月に行われたSBIアートオークションでは、KYNEの作品が予想の10倍の金額500万円越えで落札され、2021(令和3)年4月には最高予想落札価格1,400万円の約2倍である2,700万円で落札されました。
KYNEの作品は原画だけでなく版画も争奪戦になるほどの人気で、100万円前後で取引されるシルクスクリーン作品もあります。KYNEはいま最も注目される現代アーティストのひとりとして、今後も価格が上昇していくことが予想されています。
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情報参考サイト
・MOMA
・文化庁