李禹煥(リー・ウーファン)とはどんなアーティスト?「もの派」の中心人物の代表作や買取相場を徹底解説

2022/04/23 ブログ

李禹煥(リー・ウーファン)とはどんなアーティスト?「もの派」の中心人物の代表作や買取相場を徹底解説

李禹煥_関係項-4つの石と4つの鉄

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現在ヨーロッパを中心に活動している韓国出身の李禹煥(リー・ウーファン)は、日本ともゆかりの深いアーティストです。

 

現代芸術家の関根伸夫とともに「もの派」の中心作家としてムーブメントを牽引し、もの派の理論を支える思想家としても存在感を示しています。

 

今回は、世界中の著名な美術館で展覧会を行い国際的にも人気の高い李禹煥の、略歴や作品の買い取り相場について詳しく解説します。

 

 

 

李禹煥(リー・ウーファン)の略歴

 

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

1936(昭和11)年、李禹煥は韓国の慶尚南道(けいしょうなんどう)に生まれました。儒教的な規律の厳しい家庭に生まれ、姉が一人と妹が二人います。

 

釜山で幼少期を過ごし、この頃に受けた書道の訓練はのちの彼の画業に大きく影響を与えました。

 

 

 

1956年:ソウル大学校美術大学を中退後、来日

 

李禹煥が日本にやってきたのは1956(昭和31)年です。ソウル大学美術学校を中退した李禹煥は、日本大学文学部の哲学科へ入学しました。

 

東洋思想や西洋思想、さまざまな文学などを学んだ李禹煥は、1961(昭和36)年に日本大学を卒業しました。

 

 

 

1960年代後半〜70年代:美術運動「もの派」の主導的役割を果たした

 

1960年代後半、李禹煥はいくつかの展覧会に出品し、アーティストとしての道を歩み始めます。そして、1968(昭和43)年に神戸市の須磨離宮公園で行われた第1回野外彫刻展をきっかけに、現代美術家の関根伸夫と出会いました。

 

お互いの才能を認め合った2人は、後に「もの派」(1969年代末から70年代にかけてあらわれた日本美術史上のムーブメント)を牽引する存在となっていきます。

 

1969(昭和44)年、相互関係に基づく独特の世界観を論じた李禹煥の「事物から存在へ」が美術出版社藝術評論に入選します。李禹煥はアーティストとしてだけでなく、「もの派」の理論を支える存在としても注目され始めました。

 

 

 

1971年:第7回パリ青年ビエンナーレに参加

 

1971(昭和46)年、李禹煥は第7回パリ青年ビエンナーレ(1900年代に20~35歳の若いアーティストを対象に開催された美術展覧会)に参加しました。

 

李禹煥はこの年にヨーロッパやアメリカを旅行し、以降ドイツやフランスなどを中心に継続的に作品を発表しています。

 

また、李禹煥は、1977(昭和52)年の第13回現代日本美術展で東京国立近代美術鑑賞、1979(昭和54)年の第11回東京国際版画ビエンナーレで京都国立近代美術館賞を立て続けに受賞します。

 

さらに、1991(平成3)年にはフランス文化省より藝術文芸勲章シュバリエ章を授かり、同年多摩美術大学の教授に着任しました。  

 

 

 

2010年:香川に初の個人美術館である李禹煥美術館を開館

 

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

2010(平成22)年、瀬戸内国際芸術祭の開催にともない、初の個人美術館である「李禹煥美術館」が香川県の直島に誕生しました。

 

李禹煥美術館では、建築家安藤忠雄の設計した半地下構造の建物のなかに、李禹煥の70年代から現在に到るまでの作品が幅広く展示されています。

 

「ベネッセアートサイト直島」が展開されている香川県の直島には、李禹煥美術館のほかにも「地中美術館」や、草間彌生の作品「かぼちゃ」の屋外展示などがあります。

 

李禹煥美術館HPはこちら

 

 

 

2014年:ヴェルサイユ宮殿にて作品展を開催

 

2014(平成26)年の6月17日~11月2日、フランスのヴェルサイユ宮殿において「李禹煥」展が開催されました。

 

西洋文化の結晶であるヴェルサイユ宮殿に、自然素材の石や工業製品である金属板を用いて制作した、李禹煥の10点の新作が展示されました。

 

この展覧会について、李禹煥は「人工的な完璧さをどう超えるか」に苦心したと語っています。「李禹煥」展は多くの人々の注目を集め、フランスの新聞社は東洋思想に結びつけてこの展覧会の解説を行いました。

 

ヴェルサイユ宮殿のHPはこちら

 

 

 

李禹煥(リー・ウーファン)の作品の世界観

 

関係項-4つの石と4つの鉄(1978)

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

李禹煥について語るなら、「もの派」についての解説は不可欠でしょう。もの派とは、1969年代末から70年代にかけて現れた日本美術史上のムーブメントです。

 

吉原治良や白髪一雄を中心とする「具体」と並び、戦後の日本美術史のなかで重要な位置を占める芸術運動として知られています。

 

もの派では多くの場合、木や石のような自然素材と、紙、鉄、ガラスなどの工業製品を組み合わせて作品を構成します。

 

そして、ほとんど手を加えられずに構成されるこれらの「もの」のなかに作家の意志を介入させることで、素材同士の関係性を浮き彫りにするのです。

 

さらに、李禹煥は作品と作品が展示される空間との対話を創り出すことにも着目しました。李禹煥は、同じ石でも置かれた環境によって異なる表情を見せると述べています。

 

李禹煥の作品は、最小限に手を加えたほとんど自然のままの素材が使われているのが特徴です。1970年代初頭から制作された平面作品を鑑賞する際にも、なるべく手を加えないという精神を読み取ることができるでしょう。

 

キャンバスの一部のみに筆跡がみられることで鑑賞者に空間の広がりを感じさせる、余白が印象的な作品が多いのも特徴といえます。

 

李禹煥の作品は哲学と関わりが深いのでやや難解にも感じられますが、李禹煥自身は作品を考えすぎずに感じてほしいと述べています。

 

李禹煥は、もの派の中心的な存在として注目されるアーティストです。ニューヨークのグッテンハイム美術館やフランスのヴェルサイユ宮殿、ボンピドゥーセンターなどで大規模な個展を開催し、国際的にも高い評価を受けています。

 

 

 

李禹煥(リー・ウーファン)の代表作品を解説

 

それでは、李禹煥の代表作品を3つ紹介します。

 

 

 

関係項-対話

 

『関係項-対話』は、李禹煥の「関係項シリーズ」のうちの一つです。李禹煥美術館の柱の広場に屋外展示されている、2010(平成22)年に制作された作品です。

 

黒い鉄板を挟んで二つの石が対話をするように置かれています。 二つの石は、ほぼ自然のままの同じくらいの大きさの石が用いられ、鉄板を挟んで等間隔に配置されています。

 

石と鉄板の関係性、鉄板を挟んだ石同士の関係性が提示されている素朴作品です。

 

 

 

点より

 

『点より』(From point)は、1970年代から制作された、李禹煥の代表的な絵画シリーズです。左から右へと進むにつれて残像のように色が薄くなっていく、青い点が描かれているものが有名です。

 

『点より』は非常にバリエーションが多く、点が規則的なものと不規則的なものがあります。なかには2m以上の作品もあり、大きさもさまざまです。

 

李禹煥美術館、和歌山県立近代美術館、滋賀県立近代美術館、東京都現代美術館などが所蔵しています。

 

 

 

線より

 

From Line by Lee Ufan @ The Armory Show

線より(From Line)

出典元:flickr

 

『線より』(From Line)は『点より』と同じく李禹煥の代表的なシリーズで、セットで取り上げられることも多いです。上から下へ色がかすれていく青い線が描かれているものが有名です。

 

李禹煥が幼少期に学んでいたという書道の影響も感じられます。

 

色の濃淡が印象的な作品『線より』は、李禹煥美術館、東京国立近代美術館、滋賀県立近代美術館、東京オペラシティアートギャラリーなどが所蔵しています。

 

 

 

「李禹煥美術館」「李禹煥ギャラリー」で李禹煥(リー・ウーファン)の作品の鑑賞が可能

 

李禹煥の作品を体系的に楽しみたいなら、「李禹煥美術館」または「李禹煥ギャラリー」に足を運ぶとよいでしょう。これらの個人美術館では、李禹煥の代表的な作品をまとめて鑑賞できます。

 

 

先ほども紹介した直島にある李禹煥美術館は、半地下構造の近代的な建物です。

 

「出会いの間」では、1976(昭和51)年と1980(昭和55)年に制作された二つの『点より』や、1974(昭和49)年に制作された『線より』が鑑賞可能です。屋外では海を臨みながら『関係項-対話』や『関係項-合図』などを楽しめます。

 

<李禹煥美術館>

・住  所:〒761-3110 香川県香川郡直島町 字倉浦1390

・電話番号:087-892-3754(福武財団)

・開館時間:<3月~9月> 10:00~18:00(最終入館17:30まで)       

      <10月~2月> 10:00~17:00 (最終入館16:30まで)  

 ※月曜日(祝日の場合は翌日)は休館

・公式HP:https://benesse-artsite.jp/art/lee-ufan.html

 

 

釜山市立美術館別館の「李禹煥ギャラリー」は、李禹煥美術館に続く世界で2番目の李禹煥個人美術館です。

 

全面ガラスとコンクリートで構成された李禹煥ギャラリーは、李禹煥が直接立地選定からデザインまでを手がけており、それ自体が李禹煥による一つの作品ともいえます。

 

1階では『関係項-狭い門』『物と言語』など、2階では『点より』『線より』などが鑑賞できます。

 

<李禹煥ギャラリー>

・住  所:郵便番号48060 釜山広域市海雲台区APEC路58(右洞)釜山広域市釜山市立美術館

・電話番号:082-41-740-2602

・開館時間:10:00~18:00  

 ※月曜日(祝日の場合は翌日)は休館、1月1日は休館

・公式HP:https://art.busan.go.kr/spaceleeufan/jap/index.jsp

 

 

 

2022年8月10日〜11月7日「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」が開催される

 

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

2022(令和4)年の8月10日から11月7日にかけて、国立新美術館において「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」が開催されます。

 

国内で行われる李禹煥の大規模個展は、横浜美術館において2005(平成17)年に開催された「李禹煥 余白の芸術」以来で、約7年ぶりの開催となります。

 

「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」では、李禹煥の初期の作品から最新作までが幅広く展示されます。

 

数々の人気作品を通して李禹煥の精神世界が感じられる内容となっているので、興味のある人は足を運んでみてください。

 

また、同展は、2022(令和4)年12月から兵庫県立美術館を巡回する予定です。

 

 

 

李禹煥(リー・ウーファン)の作品のオークションでの落札価格とその価値について

 

アート作品の価値は、作品自体が持っている魅力、希少性、アーティストの知名度という三つの要素が密接にかかわり合って決まります。それでは李禹煥の作品の落札価格やその価値について見ていきましょう。

 

 

 

2021年:東風|約3億1,000万円(31億ウォン)

 

2021(令和3)年8月、李禹煥の『東風』(east winds)が約3億1,000万円(31億ウォン)で落札されました。発表したのは韓国の美術品競売会社ソウルオークションです。

 

これにより韓国の存命作家のオークション落札価格が、初めて30億ウォンを越えました。

 

今回落札された『東風』は李禹煥の「風」シリーズのなかの代表作で、躍動的に描かれた大胆な筆づかいが魅力の絵画です。

 

『東風』は2019(令和元)年10月に約20億ウォンで売れたばかりでしたが、2年弱で10億ウォンもの値上がりを見せました。

 

ちなみに、2020(令和2)年に落札総額が約149億7,000ウォンとなった李禹煥は、韓国国内で落札総額1位を誇る作家となりました。

 

 

 

2014年:線より|約2億3,000万円(23億ウォン)

 

2014(平成26)年、ニューヨークのサザビーズオークションで、李禹煥が1976(昭和51)年に制作した『線より』が約2億3,000万円という高値で落札されました。

 

 

 

2012年:点より|約2億1,000万円(21億ウォン)

 

2012(平成24)年、香港オークションにおいて李禹煥が1977(昭和52)年に制作した『点より』が、約2億1,000万円という高値で落札されました。

 

 

 

李禹煥(リー・ウーファン)の作品の買取相場

 

李禹煥の絵画作品は、1970年代初め頃から制作された静かなタッチの『点より』や『線より』のシリーズ、1980年代から制作された荒々しいタッチの『風より』『風と共に』のシリーズなどがよく知られています。

 

流通しているものは版画作品が多く、油絵作品は少ないです。李禹煥の作品は年代が古い作品の方が高価買取しやすい傾向にあります。

 

現在の市場評価を考慮すると、版画作品の買取金額は数十万円台から100万円を超えるまでさまざまです。また、買取金額は問合せいただいたタイミングで若干変わる可能性があります。

 

ご売却をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

 

 

 

李禹煥(リー・ウーファン)に関するトリビア

 

最後に、李禹煥に関するトリビアをシェアします。

 

 

 

李禹煥(リー・ウーファン)は版画作品(リトグラフ・シルクスクリーン)も数多く制作している。

 

李禹煥の版画作品は、2019(令和元)年度時点で245作品あるといわれています。リトグラフ、シルクスクリーン、カーボランダム、銅板等、多種多様な技法を使って制作されています。

 

これらの版画作品は油絵作品よりも流通量が多いため、比較的手に入れやすいのも特徴です。

 

 

 

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