ロバート・インディアナの「LOVE」はどんな作品?日本で作品が観れる場所やユニクロとのコラボグッズについても紹介
ロバート・インディアナの「LOVE」はどんな作品?日本で作品が観れる場所やユニクロとのコラボグッズについても紹介
ロバート・インディアナ(Robert Indiana)はアンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタインなどと同じポップアートの芸術家として大変人気があります。彼の代名詞になっている彫刻作品「LOVE」は世界中に設置されているため、目にしたことがあるという方も多いでしょう。
身近なところだと新宿アイランドにある「LOVE」は待ち合わせの定番スポットで、恋が実るという噂でも知られています。
今回は不遇な幼少期を経て芸術の世界に打ち込み、一躍スターとなったロバート・インディアナの代表作品や、ユニクロやコンバースとのコラボグッズなどについて幅広く紹介します。
ロバート・インディアナの略歴
出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
まずは簡単に、ロバート・インディアナの波乱万丈な生涯について紹介します。
1928年:アメリカ・インディアナ州のニューキャッスルに生まれる
ロバート・インディアナの名前は、彼がアメリカのインディアナ州で生まれたことにちなんでおり、彼の本名はロバート・クラーク(Robert Clark)といいます。1928年に生まれたロバート・インディアナは幼少期に養子縁組され、インディアナ州を転々として過ごしました。
父親の失業や母親の奔放な性格、両親の離婚等のために波乱万丈な幼少期を過ごしたロバート・インディアナですが、彼の芸術的才能は幼いころからすでに明らかでした。1942年にアーセナル工科高校(Arsenal Technical High School)へ入学すると、ロバート・インディアナはそこで学びながら工業的な風景を描いた水彩画を多く制作しました。
1946~1949年:米国陸軍航空隊に入隊し3年間従軍する
ロバート・インディアナはアーセナル工科高校を卒業後、1946年から1949年にかけてアメリカ陸軍に従軍します。ロバート・インディアナが入隊したのは陸軍の航空隊でした。 1948年にはニューヨークのグリフィス空軍基地の広報室に配属されます。
ロバート・インディアナはニューヨークの私立大学でロシア語を学ぶ傍ら、地域の美術センターにも通って美術を学びました。
1949年:シカゴ美術館附属美術大学、エディンバラ大学、ロンドン大学などで美術について幅広く学ぶ
除隊後、ロバート・インディアナはさまざまな学校で幅広く美術を学びます。ニューヨーク州のシカゴ美術館附属美術大学、メイン州のスカウヒーガン絵画彫刻学校(Skowhegan School of Painting and Sculpture)、スコットランドのエディンバラ芸術大学、イングランドのロンドン大学などでロバート・インディアナは貪欲に知識を吸収していきました。
1954年:ニューヨークを活動の拠点とし、さまざまな著名人と交流しながら作品制作に励む
1954年にロバート・インディアナはスコットランドからアメリカへ帰国します。そしてニューヨークに定住し、画材屋などで働きながら創作活動を行いました。帰国して2年後にアーティストのエルスワース・ケリー(Ellsworth Kelly)に出会い、彼の推薦でマンハッタンの美術街に住み始めると、そこではサイ・トゥオンブリーやアグネス・マーティンらと交流を持ちます。
これまでロバート・クラークという名前で活動をしていたロバート・インディアナは、ニューヨークで「クラーク」という名前の他のアーティストが活動していたことから、1958年から「ロバート・インディアナ」という名前を用いるようになります。
1962年にはニューヨークのステイブル・ギャラリー(Stable Gallery)において、ロバート・インディアナの初の個展が開催されました。
1966年:代表的な彫刻作品「LOVE」の制作を開始する
1966年にステイブル・ギャラリーで開催された3回目のロバート・インディアナの個展において、初めて「LOVE」の彫刻作品が出品されました。以降「LOVE」をモチーフとした彫刻は数多く制作されています。外国語に翻訳されたものもあり、1977年に制作されたヘブライ語の「AHAVA」、1998年に制作されたスペイン語の「AMOR」が有名です。
ロバート・インディアナは、その後もモントリオール万国博覧会やサンパウロ・ビエンナーレ、ドクメンタなどに作品を出品しながら精力的に活動を続けました。その後、1978年にニューヨークのアート界から身を引くことを決意すると、メイン州の小さな島ヴィナルヘブンに住まいを移して、2018年に呼吸器不全で亡くなるまで生涯をその地で過ごしました。
*ROBERT INDIANA / ARTIST / BIOGRAPHY
*ROBERT INDIANA / ARTIST / CHRONOLOGY
ロバート・インディアナの作品の世界観
ロバート・インディアナは、ポップアートを語る上では欠かせない人気アーティストのうちの1人です。ポップアートとは大量生産や大量消費をテーマとして扱う芸術運動で、イギリスやアメリカで1950年代半ばごろから盛んになりました。
ロバート・インディアナの作品は、アメリカの象徴的なロゴや標識などを作品に取り入れながら、明快な色彩とはっきりとした輪郭をもって表現されているのが特徴です。特にロバート・インディアナの代名詞ともなっている「LOVE」の彫刻は人気があり、世界中の人々に広く知られています。彼の彫刻作品はコルテン鋼(鋼表面に保護性錆を形成するように設計された低鉄合金鋼)、アルミニウム、大理石などで制作されました。
「LOVE」のシリーズには彫刻、絵画、版画などがあり、いずれもオークションでは高額で取引されています。ただし、発表時に「LOVE」に関する著作権を取っていなかったことから、多くのポスターやグッズなどが模造品として流通する結果となりました。そのため、ロバート・インディアナの作品における真贋の見極めは非常に難しくなっています。
ロバート・インディアナの代表作品を解説
続いて、ロバート・インディアナの作品のなかでも特に広く知られているものを5点紹介します。
LOVE
ニューヨークの6番街55丁目の彫刻作品『LOVE』
出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「LOVE」はロバート・インディアナの代名詞ともなっている大変有名なモチーフで、絵画、彫刻、版画などで幅広く登場します。このモチーフは1964年に制作された『4つの星の愛』という絵画作品ではじめて用いられ、1964年の『神は愛である』という絵画作品にも使われています。
その後、1965年にニューヨーク近代美術館で行われたクリスマスカードプログラムにおいて、「LOVE」の作品が非常に人気を集め、翌年にステイブル・ギャラリーで開催された3回目のロバート・インディアナの個展では、初めて「LOVE」の彫刻作品も制作されました。
このような経緯を知ると、ロバート・インディアナの「LOVE」が恋愛というよりは宗教的な背景に基づいて制作されていることがわかります。幼少期、ロバート・インディアナは1879年に創設されたクリスチャン・サイエンスというキリスト教の一派と関わりがありました。1964年に制作された『神は愛である』という作品はクリスチャン・サイエンスの教会にあった碑文でもあります。
*ROBERT INDIANA / ARTWORKS / SCULPTURE / COR-TEN STEEL / LOVE
*ROBERT INDIANA / ARTWORKS / SCULPTURE / ALUMINUM / LOVE
*ROBERT INDIANA / ARTWORKS / SCULPTURE / MARBLE / LOVE
*ROBERT INDIANA / ARTIST / CHRONOLOGY
AHAVA
出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロバート・インディアナが初めて「LOVE」の彫刻作品を制作したのは、1966年のことです。それから約10年たった1977年、彼はエルサレムのイスラエル博物館(The Israel Museum, Jerusalem)のために、ヘブライ語で「LOVE(愛)」を意味する「AHAVA」の彫刻作品(365.8cm四方)を制作しました。
1965年に設立されたイスラエル博物館には、文献的資料が存在しないほどはるか昔の時代から現代までにおけるさまざまなコレクションを数多く保有しています。『AHAVA』はイサム・ノグチが設計した第二神殿時代のエルサレムを再現する「ビリー・ローズ・アート・ガーデン」に展示されています。
*ROBERT INDIANA / ARTWORKS / SCULPTURE / COR-TEN STEEL / AHAVA
AMOR
スペイン・バレンシアにある「AMOR」(画像は背面から撮影したもの)
出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スペイン語で「LOVE(愛)」を意味する『AMOR』は、『AHAVA』が設置されてからさらに約20年後の1998年に制作されました。この作品はシリーズ作品で大小さまざまなサイズと色で制作されています。「AMOR」の「O」は「LOVE」と同じように斜めに傾いているのが特徴です。
『AMOR』はスペイン以外にも、アメリカのワシントン・ナショナル・ギャラリー(National Gallery of Art)やフィラデルフィア美術館近くの姉妹都市公園(Sister Cities Park)に設置されています。
*ROBERT INDIANA / ARTWORKS / SCULPTURE / ALUMINUM / AMOR
愛の壁
スペイン、バレンシアにある「愛の壁」
出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
4つの「LOVE」によって構成される彫刻作品『愛の壁(LOVE Wall)』は2006年に制作されました。これは1966年に制作された絵画『愛の壁』にも見られる構成です。彫刻の『愛の壁』はアメリカやスペインで鑑賞できます。
*ROBERT INDIANA / ARTWORKS / SCULPTURE / COR-TEN STEEL / LOVE WALL
One Through Zero (ザ・テン・ナンバーズ)
2014 年、ロンドンのライムストリートに展示された「One Through Zero」
出典元:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)
『One Through Zero (ザ・テン・ナンバーズ)』は「0」から「9」までの数字をそれぞれ84.5cm四方、厚み43.2cmの彫刻にしたものです。 ロバート・インディアナが数字に強く心惹かれるようになったのは、17歳になるまでに21か所の異なる家に住んだことが関係しているといいます。
ロバート・インディアナは、「1」は誕生を、「0」は死をあらわすと考え、このように数字にさまざまな意味を与えることでそれらを彼自身の人生と結びつけようとしました。
*ROBERT INDIANA / ARTWORKS / SCULPTURE / COR-TEN STEEL / ONE THROUGH ZERO (THE TEN NUMBERS)
ロバート・インディアナの「LOVE」のアクリル画が東京富士美術館にて鑑賞可能
ロバート・インディアナのアクリル画『LOVE』が八王子市にある東京富士美術館で鑑賞できます。この作品は「LOVE」の彫刻が誕生した年でもある1966年に制作された、120cm×120cmの作品です。
富士美術館は約30,000点にも及ぶ世界中の美術品を幅広く所蔵しています。ロバート・インディアナの他にもポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタインの作品をコレクションしているので、興味のある方は足を運んでみるとよいでしょう。
ロバート・インディアナのコラボグッズ
ロバート・インディアナの「LOVE」をモチーフとしたコラボグッズは、おしゃれな若者の間で非常に話題となりました。今回は特に注目を集めたユニクロやコンバースとのコラボグッズを取り上げます。
ロバート・インディアナ×ユニクロ(UNIQLO)
2013年にニューヨーク近代美術館(MoMA)とパートナーシップを締結したUNIQLOは、TシャツブランドUTのデザインにMoMAのコレクションを数多く取り入れています。2020年には「Text Messages」をテーマとしてジェニー・ホルツァー、リクリット・ティーラワニット、ロバート・インディアナの作品がそのデザインに使われました。この3名はいずれも言葉を使った作品で知られています。
ロバート・インディアナの「LOVE」がプリントされたコラボTシャツはUNIQLOのオンラインストアやMoMA Design Store(同美術館のキュレーターが選んだアイテムを販売するストア)などで発売されました。
ロバート・インディアナ×コンバース(CONVERSE)
2009年以降、アメリカのシューズ製造販売会社コンバースがロバート・インディアナとのコラボスニーカーを数種類販売しています。「LOVE」があしらわれたスニーカーは大変人気を集め、多くのファンが購入しました。
ロバート・インディアナの作品の落札価格とその価値について
ロバート・インディアナの作品は近年のオークションにおいて大変高額で落札されています。ここでは特に高値で落札された注目の作品を3点紹介します。
2022年:Picasso|約1億3,600万円
2022年5月19日、フィリップスのオークションにおいて、ロバート・インディアナの『Picasso』が約1億3,600万円(1,058,500ドル)で落札されました。この作品は、152.4cm×127cmの油彩画で、1974年に描かれたものです。
予想落札価格が600,000ドルから800,000ドルでしたが、それを大幅に上回る価格で落札され、大いに注目を集めました。
*Phillips / Robert Indiana / Picasso
2018年:NUMBERS ONE through ZERO|約9,950万円
2018年4月24日、同じくフィリップスのオークションにおいて、ロバート・インディアナの『NUMBERS ONE through ZERO』が約9,950万円で落札されました。この作品はアルミニウムを用いた45.7cm×45.7cm×25.4cmの彫刻作品です。
*Phillips / Robert Indiana / NUMBERS ONE through ZERO
2022年:LOVE (Violet Faces Red Sides)|約9,300万円
『Picasso』が落札されたのと同じ2022年5月19日に行われたフィリップスのオークションにおいて、ロバート・インディアナの『LOVE (Violet Faces Red Sides)』が約9,300万円で落札されました。この作品はアルミニウムでできた182.9cm×182.9cm×91.4cmの彫刻作品で、1999年に制作されました。
*Phillips / Robert Indiana / LOVE (Violet Faces Red Sides)
ロバート・インディアナに関する豆知識(トリビア)
最後に、ロバート・インディアナにまつわる興味深い豆知識を2つ紹介します。
ロバート・インディアナの「LOVE」はアメリカの切手にも起用されている
出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロバート・インディアナの『LOVE』はアメリカの8セント切手のデザインになったことがあります。米国郵政公社は1973年のバレンタインデーに先立ってロバート・インディアナに切手のデザインを依頼しました。この切手は大変人気を集め、販売開始から2年間で4億2,500万部が印刷されたといいます。
千葉県に前澤友作が設置した「LOVE」の彫刻がある
2014年11月、株式会社ZOZOの元社長で実業家の前澤友作が創設した「現代芸術振興財団」が、千葉市稲毛区にロバート・インディアナの「LOVE」の彫刻を設置しました。前澤友作は千葉県出身であるため地元への設置にこだわり、千葉市の自治会などに掛け合いながら約2年間かけて話を進めたそうです。
『LOVE』は千葉大学西千葉キャンパスの最寄り駅である京成線みどり台駅近くのロータリーで鑑賞可能です。
*千葉日報 / 静かでシュールな「愛」 LOVE(千葉市稲毛区) 【千葉まちなかアート】
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