田中敦子とはどんな画家?ベルや電気服などの代表作やオークションでの落札価格とその価値について徹底解説

2022/02/21 ブログ
田中敦子_ドクメンタ

田中敦子は、 音、光、電気や空気といった非物質的要素を自らの作品に取り入れた先駆的なアーティストです。近年評価の高まっている戦後に活動した前衛グループ「具体美術協会」の主要メンバーであり、欧米では同時代に活躍した草間彌生やオノ・ヨーコに並んで広く知られる存在でもあります。

 

今回は田中敦子の略歴や代表作品、作品の落札価格などについて幅広く解説します。

 

 

田中敦子の略歴

 

Tanaka Otsuka's Electric Dress. The Gutai Group, Japan, 1954

出典元:flickr

 

田中敦子は、1932(昭和7)年に大阪府に生まれました。京都市立美術大学(現在の京都市立芸術大学)へ入学後、1951(昭和26)年に中退して金山明、白髪一雄らと共に大阪市立美術館の専門教育施設である美術研究所で学びます。

 

田中敦子は金山明の助言で抽象画に興味を持ち、1952(昭和27)年には、金山明、白髪一雄、村上三郎らと「0会」を結成しました。翌年の1953(昭和28)年から1955(昭和30)年頃にかけては、『カレンダー』に代表される数字をモチーフとした作品を多く制作しています。

 

 

1955年:白髪一雄・村上三郎・金山明とともに具体美術協会へ参加し、第1回具体美術協会展へ出品

 

1955(昭和30)年、田中敦子は実業家で抽象画家でもある吉原治良の主導する「具体美術協会」に金山明、白髪一雄、村上三郎らと共に入会しました。

 

田中敦子は具体美術協会の主要メンバーとして活躍し、同年に開催された第1回具体美術展では『ベル』、1956(昭和31)年に開催された第2回具体美術展では、電球と管球を組み合わせて仕立てた『電気服』を発表して注目を集めます。

 

「白髪一雄」に関する記事はこちら

 

 

1957年:「舞台を使用する具体美術」展にて電気服などを使用したパフォーマンスを行う

 

1957(昭和32)年に大阪市で開催された「舞台を使用する具体美術」展で、田中敦子は実際に舞台で『電気服』着用するパフォーマンスを行って話題をさらいました。

 

その後、電球やコードから得たインスピレーションをもとに制作した絵画作品が、フランスの美術批評家であるミシェル・タピエに認められます。それにともなって、田中敦子の作品は欧米でも紹介されて人気を得るようになりました。1965(昭和40)年、具体美術協会から退会し、金山明と結婚します。

 

 

1993年:第45回ヴェネツィア・ビエンナーレ出品

 

1993(平成5)年、第45回ヴェネツィア・ビエンナーレ(イタリアで2年に1度開催される現代美術の国際展覧会)の企画部門「東洋への道」に、夫・金山明と共に作品を出品します。

 

さらに、2001(平成13)年には兵庫県の芦屋市立美術博物館と静岡県立美術館において、大規模な個展が開催され、独特な精神世界を表現する絵画やオブジェが高い評価を得ました。

 

 

2005年:亡くなるも、国際的な再評価が高まり世界各地で回顧展が開催される

 

第12回ドクメンタで展示された田中敦子の作品

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

奈良県明日香村のアトリエで絵画制作に励んでいた田中敦子は、2005(平成17)年に肺炎のため73歳でこの世を去りました。

 

田中敦子の作品の評価は死後も高まり続け、オーストリア、アメリカ、カナダ、イギリス、スペインなどで立て続けに回顧展が開催されました。2007(平成19)年にドイツで開催された第12回ドクメンタや、翌年に開催されたシドニー・ビエンナーレでも紹介され、田中敦子の芸術活動の軌跡に近年注目が集まっています。

 

 

田中敦子の作品の世界観

 

"Work A" by Atsuko Tanaka, 2001

出典元:flickr

 

金山明からの助言で抽象美術の世界へ足を踏み入れた田中敦子は、初期には繊細さと力強さが同時に感じ取られる数字をモチーフとしたコラージュ作品などを手掛けています。

 

田中敦子の作品の中でも、具体美術協会への参加後に制作した『ベル』や『電気服』は、彼女の現代アーティストとしての地位を不動のものとした代表作品といえます。田中敦子のパ フォーマンスやインスタレーションは、具体美術協会のなかでもとりわけ異彩を放つものでした。これまでの美術の枠組みを超えて非物質的な素材(音や光など)を取り扱った田中敦子の作品は、非常に独創的で国際的にも高く評価されています。

 

また、電球や電気コードから得たインスピレーションをもとに制作された、円や曲線をモチーフとしたカラフルな絵画作品も多く制作しています。このような絵画作品は晩年まで継続して制作され、田中敦子独特の表現方法がそこに究められていきました。田中敦子の作品からは、アートとテクノロジー、身体と環境といったテーマを感じ取ることができるでしょう。

 

 

田中敦子の代表作品を解説

 

それでは、田中敦子の作品の中から代表作品を3つ紹介しましょう。

 

 

カレンダー:入院中の経験をコラージュとして作品化

 

documenta

出典元:flickr

 

1954年頃に制作されたとされる『カレンダー』は、縦38cm×横54cmのコラージュ作品です。具体美術協会に参加する前の自身の入院をきっかけに制作されました。田中敦子は入院中に、退院を待ちわびながら数字を順に描いていたそうです。現在は芦屋市立美術博物館に所蔵されています。

 

 

ベル:約40mの電気コードに等間隔に連ねた20個のベルが順に鳴り響く

 

第1回具体美術展に展示した『ベル』は、約40mの長さの電気コードに等間隔に配置された20個のベルが、足元から順に鳴り響くという作品です。観客がスイッチを押すと足元近くのベルが鳴り、それが展示室の奥の方へと順に移動していって再び近くへ戻ってくる仕組みになっていました。美術の世界では珍しい音を取り扱った作品です。

 

 

電気服:9色の合成エナメル塗料で塗り分けられた管球約100個と電球約80個からなる

 

Tanaka Atsuko, Electric Dress, 1956

出典元:flickr

 

第2回具体美術展に展示した『電気服』は、9色の合成エナメル塗料で塗り分けられた多彩な管球約100個と電球約80個によって構成される作品です。田中敦子は、ネオンサインに照らされる大阪の街の薬の広告を見て、この作品のインスピレーションを得たのだそうです。

 

1957(昭和32)年に開催された「舞台を使用する具体美術」展では、『電気服』を田中敦子が実際に着用するというパフォーマンスを行い話題になりました。『電気服』は田中敦子の死後に開催された2007(平成19)年の第12回ドクメンタ(ドイツ)でも展示されています。

 

 

「京都国立近代美術館」で田中敦子の作品の鑑賞が可能

 

出典元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

京都市左京区の岡崎公園内にある「京都国立近代美術館」は、田中敦子の作品を所蔵しています。作品を間近に見てみたいという人はぜひ行ってみましょう。

 

京都国立近代美術館は、日本の近代美術史全体に目を向けつつ関西・西日本の美術に比重を置いた、豊かなコレクションを所蔵しています。田中敦子のアクリル作品も所蔵しているので、タイミングが合えば田中敦子の作品を直接鑑賞することができるでしょう。京都国立美術館は、具体美術協会で同時代に活躍した白髪一雄の作品も所蔵しています。

 

 

田中敦子の作品の落札価格とその価値について

 

次に、田中敦子の作品が実際にどれくらいの価格で取引されているのかを具体的に紹介します。

 

 

2020年:`94A|1,500万円

 

2020(令和2)年2月28日に行われた株式会社マレットジャパン主催の近現代美術のオークションで、田中敦子の大型作品が1,500万円で落札されました。落札された『’94A』は1994(平成6)年に制作されたもので、円と曲線によって構成されたカラフルな作品です。電気服を源泉として制作された作品群のうちのひとつといえます。 株式会社マレットジャパンは、2005(平成17)年に設立された美術品専門のオークション会社です。主に近代から現代の美術品を取り扱っており、東京で年に4~5回のオークションを開催しています。

 

 

2019年:02g|470万円

 

2019(令和元)年の9月27日、マレットジャパンのオークションで田中敦子の作品『02g』が、落札予想価格400~600万円のところを470万円で落札されました。『02g』はキャンバスに合成樹脂エナメルで描かれた12号作品で、2002(平成14)年に制作されたものでした。

 

 

2015年:2m近い大型作品(作品名不明)|1億2000万円

 

2015(平成27)年に行われたマレットジャパンのオークションで、田中敦子の2m近い大型の作品が、落札予想価格5,000~7,000万円に対して1億2,000万円で落札され、世界レコードを記録しました。

 

 

田中敦子の作品の買取相場

 

田中敦子の作品は、近年数百万円から数億円単位で取引されており、基本的に右肩上がりとなっています。これは、具体美術協会の評価が国際的に高まっていることや、2012年に東京都現代美術館、イギリスのアイコンギャラリー、スペインのカステジョン現代美術センターと共同で大規模回顧展が開催され、注目が集まっていることが原因といえるでしょう。

 

オークションにおける平均落札価格は、2014(平成26)年に約617万円だったものが2年後の2016(平成28)年には約799万円に上昇しています。2017(平成29)年に平均落札は561万円まで下落したものの、さらに2年後の2019(令和元)年には約742万円となり、再び上昇しました。田中敦子の平均落札価格は落札予想価格の下限を下回ることなく推移し安定しています。

 

 

田中敦子の作品は強化買取中

 

田中敦子の作品は、ニューヨーク近代美術館(MOMA)をはじめとした海外の主要美術館にも所蔵されています。

 

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【関連作家】

元永定正