横尾忠則の代表作品を紹介!経歴や世界観を解説!
横尾忠則の代表作品を紹介!経歴や世界観を解説!
横尾忠則は世界的に成功を収めた日本を代表するアーティストの一人。画家、グラフィックデザイナー、イラストレーター、作家などさまざまな顔を持ち、独自の感性を遺憾なく発揮しています。
いかにしてアーティスト横尾忠則が生まれたのか、そしてさまざまな著名人たちと親交が深かった横尾が、彼らと出会うことによりどのような世界観を作り出していったのか。
この記事では横尾の経歴、世界観を解説するとともに、代表作についてもご紹介します。
横尾忠則の作品の世界観
独特な世界観を持つ横尾忠則の作品ですが、生涯のテーマは「生と死」。その背景には高齢であった養父母との関係が長く続かないことを悟り死を意識し始めた幼少期、そして恐ろしい戦争体験がありました。
また、ポップアートといえば横尾忠則の名前が必ず挙がるのではないでしょうか。彼は、1960年代のポップカルチャーを反映した、カラフルでサイケデリックな作品を多数制作しています。アンチモダンといわれる個性的なデザインが特徴で、異素材のコラージュや自己反復、つまり自身の作品の模写を積極的に行っています。
三島由紀夫に勧められたインド旅行により、オカルティズムや神秘主義に興味を持ち始めたことも作品に大きな影響を与えています。
横尾忠則の経歴
横尾忠則は1936年、兵庫県多可郡西脇町(現在の西脇市)に成瀬家の次男として誕生。1939年に呉服商であった叔父夫妻の養子に入り、かわいがられて育ったといいます。
身近にあった華やかで色鮮やかな着物のデザイン、そして田舎の土着的な風景に影響され彼の好奇心が刺激されていきます。
夢遊病者であった実父の不思議な話、自身が体験したさまざまな超常現象もまた、彼の世界観に影響を及ぼしているといえます。
幼少期~少年時代
2~3歳の頃からすでに絵本の模写をしていたという横尾。特に5歳の頃に描いた『武蔵と小次郎』は、そのリアルな描写と完成度に驚かされるとともに才能の片鱗が見て取れます。
小学校に入学すると、漫画を描いて『漫画少年』に投稿するようになります。しかし1945年、神戸の街は空襲で甚大な被害に。西脇は空襲を逃れたものの、神戸や明石の町が赤く染まる光景、そして大阪の闇市に出向いた際の空襲跡に横尾少年は衝撃を受けました。
中学校時代は、江戸川乱歩の探偵小説やその挿絵に夢中。
高校に入学すると、通信教育で挿絵を学び、2年生の時に出会った教師の影響で油絵を始めます。ポスターの制作を始めたのもこの頃で、学園祭のために作ったものが初めてのポスターです。
グラフィックデザイナーとして活動
武蔵野美術学校への受験を断念した横尾は高校卒業後、印刷会社へ就職。
1956年、神戸の喫茶店にて個展を開催した際、神戸新聞社の目に止まりスカウト。こうして神戸新聞社で1959年まで働きました。
23歳で退社し、ナショナル宣伝研究社に入社後、移転を機に上京。日本デザインセンターに入社。
イラストやポスターなどを作り続け数々の賞を受賞している横尾ですが、1964年の東京オリンピックではピクトグラムの作成にも関わっています。
また唐十郎や寺山修司、そして三島由紀夫との出会いは特に横尾に影響を与えています。
写真を始めたのは1970年のこと。
こうしてグラフィックデザイナーとして活動し、そのキャリアを着実に積み上げていきました。
海外での活躍
1960年代後半から70年代にかけて、横尾の評価は国内だけでなく海外にも広まっていきました。
1967年には、展覧会に並んでいた横尾のポスターがニューヨーク近代美術館に全て買い上げられるという快挙。
1972年にはそのニューヨーク美術館で個展を開催するまでになりました。この頃から頻繁にニューヨークを訪れるようになり、かの有名なジャスパー・ジョーンズやアンディー・ウォーホルなどのポップアーティストに出会っています。
また、たびたびインド旅行に出かけるようになるのもこの頃です。
画家への転身
画家への転身のきっかけは1980年7月、旅行中にニューヨーク近代美術館で見た「ピカソ展」でした。グラフィックデザイナーとして美術館の入り口をくぐった横尾、しかし出てきた時には横尾の気持ちは画家になっていたのです。
彼はその時の気持ちを「まるで豚がハムの加工商品になって工場の出口から出てくるようだ」と表現しています。
このようにピカソ展に大いに衝撃を受けた横尾は、「今後は絵画制作に専念する」と新聞記者に話しました。これが記事になり、いわゆる「画家宣言」と捉えられたのです。
彼の中で、グラフィックと絵画は全くの別物。大きな転換点となりました。
以来、画家としてさまざまな作品の制作に携わり続けています。
数々の賞を受賞
数々の賞を受賞している横尾忠則ですが、世界的な賞の受賞の始まりは1969年に開催された第6回パリ青年ビエンナーレ版画部門でのグランプリでした。
その後も、1972年には第4回ワルシャワ国際ポスター・ビエンナーレ展ユネスコ賞、1974年には第5回同展で金賞受賞など、受賞歴は多数。
また1972年のニューヨークでの個展を皮切りに、ドイツ、オランダ、フランスなど世界各国で個展を開催しています。
日本国内でも多くの美術館で展覧会が開催されているので、実際に目にする機会が訪れる可能性も高いといえます。
横尾忠則の代表作品
オリジナリティあふれる独特の作品を数多く生み出している横尾忠則。作品によって作風に違いがみられるように感じますが、バラバラのことをやるのがアイデンティティなのだと彼は言います。
そんな彼の作品の中でも特に鮮烈な印象のポスター、有名なシリーズとなっている絵画など、いくつかの代表作をご紹介していきます。
腰巻お仙
1966年に発表されたポスターの代表作の一つです。
唐十郎率いる状況劇場のポスターとして作られました。
第二次世界大戦時、鬼退治をした桃太郎をアイコンに国の威信を奮い立たせたことから、横尾が描く「桃」は悲劇と敗北の象徴なのだそう。
1970年に開催された世界のポスター展にて、60年代を代表する作品に選出され世界的評価を得ました。
TADANORI YOKOO
1965年に東京で開催されたペルソナ展に出品したポスター。
まず目に飛び込んでくるのは首を吊った男性の姿。見た目のインパクトが抜群です。そして「29歳で頂点に達し、ぼくは死んだ」という英文コピー。
「TADANORI YOKOO」と自身の名前を付けた彼自身のための広告です。めでたさの象徴でもある旭日に首吊り男性という組み合わせが衝撃的な作品です。
Y字路シリーズ
横尾の故郷である西脇市のY字路の写真を撮ったことがきっかけで描き始めた「Y字路シリーズ」は、今や150点以上に上ります。Y字型の三叉路を中心に置く構図は共通で、場所や時間帯はさまざま。いくつもの描法を使用し多種多様なバリエーションで描かれるこのY字路シリーズは、横尾の代表作といえるでしょう。
ロータスの伝説
『ロータスの伝説』は、サンタナが1974年に発表したライブ・アルバムです。1973年の大阪でのライブを収録したアルバムですが、話題を集めたのが22面開きの曼荼羅ジャケット。そのジャケットイラストのデザインを担当したのが横尾でした。
後に「最多面数を持つアナログLPジャケット」としてギネス世界記録に認定されています。
横尾忠則の作品が鑑賞可能な美術館
横尾忠則の作品を実際に見てみたいと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
彼の大作の多くは美術館に収蔵されています。作品が鑑賞できる美術館が日本にもいくつかありますのでご紹介していきます。
横尾忠則現代美術館
横尾忠則現代美術館は、神戸市灘区にあった兵庫県立美術館王子分館をリニューアルし、2011年に開館。
兵庫県西脇市出身である横尾忠則本人から寄贈・寄託された作品を収蔵しています。また、横尾とゆかりのあるアーティストの展覧会や、関連するテーマ展などを開催。
アーカイブルームがあるのがこの美術館の大きな特徴で、膨大な資料が保管されており、段階的に整理・公開しています。
オリジナルグッズも購入可能。
住所 : 神戸市灘区原田通3‐8‐30
アクセス : 阪急電車「王子公園駅」徒歩約6分
JR「灘駅」徒歩約10分
開館時間 : 10:00~18:00(入場は17:30まで)
料金 : 一般 700円
大学生 550円
70歳以上 350円
公式HP : https://ytmoca.jp/
豊島横尾館
瀬戸内海に位置する豊島(てしま)に、2013年の瀬戸内国際芸術祭の一環として作られた豊島横尾館。設計は永山祐子。
古い民家3棟を改修して作られた趣のある建物。展示空間は「母屋」「倉」「納屋」で構成されています。平面作品11点の他、庭や池、円筒状の塔にインスタレーション作品が展開され、空間全体が作品のように一体となります。
またテーマは「生と死」。これを表現するために用いられている赤いガラスが効果的。
トイレまでも作品の一部なので見逃さないようご注意を!
住所 : 香川県小豆郡土庄町豊島家浦2359
アクセス : 豊島家浦港から徒歩5分
開館時間 : 10:00~17:00(3月~10月)
10:00~16:00(11月~2月)
※最終入館は30分前まで
料金 : 520円(15歳以下無料)
公式HP : https://benesse-artsite.jp/art/teshima-yokoohouse.html
東京都現代美術館
東京都現代美術館は、戦後の現代美術の紹介、研究、収集、保存、展示などを目的に1995年に開館。
日本最大級の美術館建築であり、約5700点という優れたコレクションを持っています。
2023年7月15日より「MOTコレクション展」にて、特集展示として「横尾忠則ー水のように」と題した横尾の絵画とグラフィック作品約70点が展示されます。「水」の表現に着目し軌跡をたどることで、横尾の新たな魅力に迫ります。
住所 : 東京都江東区三好4‐1‐1
アクセス : 東京メトロ半蔵門線「清澄白河駅」B2番出口より徒歩9分
都営地下鉄大江戸線「清澄白河駅」A3番出口より徒歩13分
開館時間 : 10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
料金 : 企画展により異なる
公式HP : https://www.mot-art-museum.jp/
岡之山美術館
西脇市岡之山美術館は、西脇市出身である横尾忠則の作品を収蔵・展示する目的として1984年に開館。現在は現代美術アーティスト作品を展示する美術館として運営。「日本へそ公園」内にあり、地域の文化拠点となっています。
ホームに停車している列車をイメージして作られた建物は、磯崎新によるもの。ギリシャ神殿のようなエントランス、そしてピラミッド型の瞑想室が併設されているのも特徴です。
2023年7月23日~12月3日まで「にしわき横尾忠則コレクションⅡ」展が開催されます。
住所 : 兵庫県西脇市上比延町345‐1
アクセス : JR加古川線「日本へそ公園駅」下車すぐ
開館時間 : 10:00~17:00(入館は16:30まで)
料金 : 大人 300円
シルバー 250円
高校・大学生 150円
小・中学生 100円
公式HP : http://www.nishiwaki-cs.or.jp/okanoyama-museum/
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まとめ
第一線で活躍し続け、そして数多くの作品を生み出している横尾忠則。
現代アートの歴史を語る上で避けては通れない存在感を放っており、今後を担うアーティストたちにも影響を与え続けていくことでしょう。
横尾忠則の作品に興味が湧いた方は、ぜひ美術館にも足を運んでみてください。
またポストカードやクリアファイル、ネックレスなどのオリジナルグッズも多数販売されています。気になる方はそちらもぜひ。
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